我傍的、ここだけの話


Archive2010年08月 1/1

読書家たちの憂鬱2

■読書家の定義? 久しぶりに予定のない休日。  「コトノハ」というサイトを見ていたら、引っ掛かる投稿を見つけてつい反応してしまった。 【得意気に「読書好き」と抜かす輩には、小説しか読まない輩が多いように感じる。】  http://kotonoha.cc/no/238751    うん?  「小説好き」は「読書好き」ではないのか。  私自身は小説から新書、ビジネス書、ノンフィクション等々まで読んでしまう雑読者だ。  でも他人の読んでいる...

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「読書家」たちの憂鬱1

(やや毒舌。要注意)  かつて「本好き」と自分で言っている女性と付き合いがあった。  本好きなら図書館という場所は絶対好きに違いないと考えて、休日に図書館デートへ誘った。  彼女があまり楽しそうではない様子であるのにしばらく気付かなかった。  本好き同士が図書館へ行けば必ず見られる行動、お互い好きな本棚のほうへ走りまくりマイペースに読書をし、それでいて同じスペースで過ごした充実感を味わうということに...

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ヘッセという硬派な作家

 ヘッセと言えば、『車輪の下』。  学校の課題図書で『車輪の下』を無理やり読まされ、「競争主義の教育は良くないと思いましたぁ」などという教科書のコピーのような読書感想文を書いて表彰された人もいるだろう。  またヘッセは美辞麗句で取り繕ったお上品なだけの詩人、との認識もよく耳にする。 「ヘッセが好き」  と告白すると 「あなたは美しいものが好きなんですね。お上品な方なんですね」  となんとなく引き気味で...

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『三島由紀夫とは何者だったのか』感想

 三島由紀夫の小説も一時期よく読んだが、一度たりとも「好き」と思えたことがなかった。  文章は嫌いではない。華美な表現も面白みがあり私には楽しめる。  ストーリー展開も現代のコミックの原型と言えるので、ある意味で“馴染み深い”もの。  退屈なストーリーで溢れる小説世界にこの人は救世主として表れたのだろう。  けど、な。  三島の小説を読むと必ずと言って良いほど落ち込むんだよな。  今度こそ大丈夫と覚悟し...

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『桜桃とキリスト――もう一つの太宰治伝』感想

 この人こそ読んでいると誤解される作家の代表ではないだろうか。太宰治。 太宰治ファンで有名な芸人、又吉がブログにて 「太宰治が好きだと言うと“ああ。昔読んだわ”と言われ、やったった感を出される」  と書いていたので笑った。確かにそういう自称読書家は多いな。  彼が言うようにそのような人間は偉い評論家の言葉をコピーしているだけだ。 「太宰ごときは十代の頃に読むべきもの」とか 「自意識過剰な太宰文学を大人が...

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盛田隆二『夜の果てまで』感想(本)

2009年読。 リアリズムに圧倒されました。 こんな小説を書けたらなぁ。 【ストーリー】 コンビニでバイトしている大学生の主人公は、いつも夜中に来る女性客の万引き行為を目撃していた。  チョコレートのM&Mをポケットに入れて持ち帰るので「Mさん」と呼んでいたその女性は、年上なのだろうが魅力的だった。  たまたま入ったラーメン屋に「Mさん」がいた。その店の主人の妻だった。  その後、主人公はラーメン屋の息...

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角田 房子 『碧素・日本ペニシリン物語』 感想と紹介

 ドラマ『JIN-仁-』でペニシリンのありがたさが描かれていたが、現実にペニシリンの開発が進んだのは第二次世界大戦中だった。 1929年、英国人フレミングが偶然に導かれて発見したペニシリンは、長らく誰にも注目されることがなかった。だが第二次世界大戦が勃発し、傷病兵を治療する必要性から一気に開発が進み、米国において大量生産・実用化に至った。(英国人フローリーらの尽力による) つまり軍事力を高めるために開発...

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池澤夏樹『静かな大地』感想(本)

 明治維新。世の中は変わり、侍の権威は失墜した。  これまでのように上から言われる仕事をしていれば食べていけた時代とは違う。侍たちは生活手段を求め彷徨った。  徳島の侍から襲撃された淡路の侍たちも、島を離れることを余儀なくされた。移住先は未開の地、北海道――。 移住した淡路衆の中に、幼い宗形三郎がいた。  三郎が新しい地を探検しているとき、アイヌの子オシアンクルと出会う。たちまち三郎は彼と親友になる。 ...

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清野 栄一『テクノフォビア』感想(本)

 仕組まれている、と感じることがある。  最近初めて知ったばかりのめずらしい名前を、その人物とは全く関係のない土地の、関係ない人たちの会話で耳にしたり。    無関係なはずのシチュエーションの、文字や数字が一致したり。 それらは単なる、偶然の一致としか言いようがないものなのだけれど、幾度か重なると人はその一致に意味を感じ始める。  つまり膨大なデータの洪水の中から、運命を見出そうとするのだ。  清野栄一...

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島本理生『ナラタージュ』 感想(本)

 重い、痛い、切ない。  覚えのある情景を目の前で映し出される。ようやく癒えたと思い込んでいた心の傷を、ふたたび抉られる……。  愚かしい恋をしたことのある人間なら、読むのが苦しい小説。  「ナラタージュ」~過去語り、というタイトルは嘘だろう。この小説はあまりにもその時に近い。    作家が小説を書くときは一度、現実の出来事を自分で飲み込んで消化する。(はずだと思う)  だからどのような小説の痛みも情景も...

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