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どこを見ても同じ話題で皆様うんざりしているだろうから、あまり世間を騒がせるニュースに反応したくないのだが。
二十歳の青年の会見があまりにも立派だったのと、明かされた酷い精神的暴力に憤りを抑えることができず書いてしまう。

 こちらのレポートが詳しい。⇒アメフト反則事件、日大選手の会見詳細

理不尽なマラソン十周などの懲罰を受け。日本代表となる夢まで断たれ。あげく、「試合に出たければ相手を壊せ」と強迫されて犯罪行為の鉄砲玉となった。

パワハラと言うよりもはや密室での精神的虐待、人権蹂躙。
夢も人生も踏みにじられた彼の絶望感を想像すると痛ましい。

ただ加害選手が強迫されていたのであろうことは本人の会見がなくても容易に想像ができた。
それなのに想像力のかけらもなく、ツイッターなどで偉そうに
「いくら監督に指示されたとしても二十歳の大人でしょ。自分自身で犯罪行為を踏みとどまることもできたはずだ。だからやったコイツが全面的に悪い」
と加害選手を叩いてきた人々。
もちろん彼のやったことは悪いことだし、一番の被害者は重症を負った相手選手だということは間違いない。
だけど偉そうなことを言っているあの人たちは、自分だったら圧倒の強迫のもとで犯罪行為を踏みとどまれるのか?
つまり戦争になったとき、上官から銃を向けられたうえで虐殺を指示されたら、自分が処刑されても断ることができる人たちなわけだ。ご立派なものだな。(ぜひ叩いている人たちの名前をメモしておいたほうがいい。本当に強迫されても指示に従わないのか見てみたい)

しかしこの事件は奇妙だ。
始めから加害選手が監督らの虐めのターゲットにされていたとしか思えない。
選手の何が監督らの不興を買ったのだろう? これは憶測だけど、生真面目な感じの青年だから、監督らの暴力行為に意見するなどして「生意気」と思われたのでは。
あるいは、聞き分けの良い優秀な選手だったから暴力の手先として利用できると思っただけなのか。
いずれにしても始めから使い捨てするつもりだったのは明らか。
監督らは最初から、この子の人生まで潰すことまで想定して愉しんだのではないかと思える。

私が最も驚いたのは反則後に後悔して泣いている選手に対し、コーチがこんなことを言っていたという話。
「事の重大さに気がついて泣いていたところを井上コーチに見られていました。「優しすぎるところがダメなんだ。相手に悪いと思ったんやろ?」と責められました。試合後、スタメンと4年生が集められたとき、監督から「こいつの(宮川泰介選手の反則)は自分がやらせた。こいつが成長してくれるならそれでいい。相手(重傷を負った被害選手)のことを考える必要はない」という話がありました」
犯罪行為を「悪い」と思っている若者に対して「だからお前はダメ」と言うとは――異常な価値観。
つまりこの人たちは心から、卑劣な暴力が「正義」であり、暴力を実行できない者は「ダメ人間」という価値観を持っているということだよね。

今のところ世間ではこのような価値観を「異常だ!」と思う人が多い。
でも会社や学校など、閉ざされた社会の中では度々、こういう価値観の人を見かける。そして閉ざされた社会の中ではこのような人物こそ追従者を増やして力をふるう。

歴史のなかでもそう。
ある国家などでこの種の人たちが「残虐行為は正義だ!」と強く主張し始めると、普通の人々は批判するどころか「そうだ、そうだ」と賛同して熱狂し始める。
価値観が異常であればあるほど、彼らの熱狂は凄まじくなる。反対する人々を平気で殺せるほどに。

何故、洗脳され熱狂してしまうのだろう。
始めは無意識の恐怖心を「憧れ」と間違い、強い者に従わせるのだろう。そのうち、チキンなため犬となった自分を正当化したくて積極的な残虐行為に及ぶのだろうな。
リーダーの望む残虐行為をして見せて、リーダーに認められ自分だけ安全圏にいるためでもある。

 関連記事 チキンほど独裁者を崇拝する

問題はその熱狂を起こす中心にいる、「自分のための暴力は正義、残虐行為は最高の善」という価値観を持つ人々だ。
彼らは心から本気でそれが正義なのだと思っているから、道義を用いて「君の考え方は間違っている」と諭したとしても「お前の価値観を押し付けるな」と返してくるだけで、埒が明かない。

そもそもこの人たちは何故か全員
「何が正義かなんて決まっていない」
という言葉が好きだし、
「この世には善悪などない」
と主張するのがお決まりのパターンだ。(価値観は一つではないと主張しながら、言うことやることはコピペしたようにワンパターン)

いったい、この人たちは何故生まれてくるのか? ということが私の長年の謎。
教育なのか、それとも生まれつきなのか。

“サイコパス”という定義だとまるで生まれつきの脳障碍のようだが、それも疑わしいと思っている。

悪魔、という呼び方も違う気がする。そんな意思のある者たちではない。
もっと空っぽで機械のようなのだ。
たとえば、暴力プログラムを組み込まれたロボットのように。
(たぶん近年の高級なAIにも劣るポンコツロボットのような気がする)
空っぽだからこそ、彼らは一様に「何が正義か分からない」と言うのだし、残虐行為を愉しむために同じ行動パターンを持つのだと感じる。

可能性として私が考えているのは「あの人たちの肉体の中には魂がない」ということ。
(修正。これも違うな)

以前、共感覚の話でネットを調べていて、偶然にも
「“色なし”たち」
の話に出会った。
他人に色を感じることができる共感覚者が、どうしても色の感じられない“色なし”が存在すると言っている。
SF作家のフィクションなのかもしれないけど、私には妙にその「色なし」という表現がしっくり来た。
そう、確かに奴らは空っぽで色なしなのだ。
 ⇒「共感覚」と「色なし」の話

最近この「色なし」たちが増えているという話は、私も同感だ。
「正義が分からない」
「善悪なんてこの世にない」
と言う人たちが増えた。どんどん生きづらい世の中になっていく。

どうか奴らに熱狂して手先となることはやめて欲しい。ただでさえ「色なし」が多いのに、洗脳されて熱狂する人々が増えたらもうこの世に救いはない。

例のアメフト反則事件では、加害者となった青年は「色なし」の支配から脱した。
しかも顔出し・名前出しで謝罪した。
とても勇気ある立派な態度だった。大人たちも見習うべきだ。


/その後、夜に日大が出してきたコメントも酷いね。この期に及んでまだ「選手の受け取り方が悪かった」と、全面的に選手のせいにしている。
まださらに加害選手の人権を踏みにじる気でいる(まるで虐め殺された人の遺体を、高笑いしながら踏みにじるような行為)。酷過ぎて怒りに震えた。この大学そのものに道義心が無いらしい。
教育機関であるのに、幼児でも分かる善悪の判断すらできないとは。この大学は終わったな。これから受験者が激減するだろう。大学には自業自得でも、今現在、日大に通う学生たちがとても気の毒。



メモ。5/23認知神経科学者の中野信子さん曰く、監督らが行ったのは典型的なマインドコントロールの手法だという。日本社会ではよくありがち、「日本社会の闇」が見えると中野さんは言う。

〔マインドコントロールの手法〕
本人が最も欲しいものを奪う
 ↓
「それが欲しければこれをやれ」と、本人が後ろめたいと思うことを強要する
 ↓
本人が実行したら、その後ろめたさを盾にして一生コントロールする


魂を踏みにじる最も酷い人権蹂躙。許せない。


2018/5/23 18時修正 「色なし」のことを「魂がない」と解釈してみたが、やはりそれも違う気がして修正
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吉野 圭(Yoshino Kei)
Posted by吉野 圭(Yoshino Kei)
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