-
続き。

NHKに共産主義者が多いことはよく分かった。
しかしNHKは、『古代中国英雄伝説「曹操と孔明」』『アジア巨大遺跡~始皇帝陵』のような毛沢東崇拝の番組を、中国政府の指示で作っているのか? それとも勝手な忖度で作っているのかは分からない。

おそらく、忖度なのだろうと想像する。
何故そう思うのかと言うと『曹操と孔明』の番組内容に思想の一貫性がなかったので。

前記事で書いた通り、曹操に関する表現ではあからさまに独裁者礼賛、毛沢東崇拝を叫んでいたNHKなのだが、孔明に関する話になると急に左翼トーンが弱くなる。
おそらく共産主義者としては、毛沢東に対する象徴として孔明の評価を必ず落とさなければならないのだが、その論拠が「曹操を名君」ということにした論拠よりもさらに弱い。

NHK曰く、
「赤壁戦で奇策を弄し、大活躍した孔明。
 ところが!
 史実を記した書物には、な・な・なんと、赤壁戦での孔明の軍略は特に記されていないのです。
 ファンの皆さん、大大ショーーック! 残念でした」
笑。
つまりフィクションの設定が事実ではなかったことを論拠として、孔明の評価を落としているつもりらしい。

価値観の、
あまりの低さに
ついていけない。


まあそんな頭の悪い人たち限定で有効な悪評?は、どうでもいいのだけど。
(個人的には史実が伝わることを歓迎する)

不可解だったのは、その後の番組の展開。
諸葛亮という人物を説明するのに、NHKが唯一選んだのは
「孟獲を 七度捕らえ 七度放した」
というエピソードだった。

何故、そのチョイス?
と首を傾げてしまったのだが、番組紹介文を見ると
「諸葛孔明は、実は軍師としての才能より政治家としての才能が勝っていたのではないかと、実像が見直されつつある」
とあるので、どうやら彼の政治力(経世済民力)を表すエピソードとして選んだものであるらしい。

しかし、共産主義者としては誤ったエピソード選択だったと思う。
何故なら、
異民族を人間扱いした孔明。そのために、孟獲の子孫であるイ族は今でも孔明を尊敬している」
というエピソードは、明白に現代中国政府の施策――チベット族・ウイグル族の弾圧――を批判するものとなるのだから。

日本人として生きているとピンと来ないことだろう。
だから日本人感覚で「無意味で無害」に感じられる南征のエピソードを選んだのだと思う。

あるいは、曹操の部分は共産主義者が担当し、孔明の部分は一般日本人が担当したのか?
だとすればNHK内部で思想的な対立が生まれ、共産主義一色に染まっているわけではないことの証になり、期待が持てるのだが。

いずれにしろ、この孔明エピソードのチョイスのために、番組は前半と後半で思想的に引き裂かれ対立してしまった。
習近平へ尻尾を振るためにこの番組を作った共産党員たちは、とても主席サマへ見せられないものを作ってしまったな。この番組は彼らが崇めるリーダー、習氏の逆鱗に触れることだろう。

この番組の後半を作ってくれたスタッフに感謝したい。
現に壮絶な暴力をふるわれているチベット・ウイグルの人たちのために、この番組後半の精神が広まることを切に願う。


*

この番組を観て、私も『孔明ってどんな人?』記事に孟獲とのエピソードを追加しておいた。
忘れていたのは済まないことだと思う。
何故忘れてしまうのかと言うと、孔明の欠点以外のエピソードに私は関心がなかったので。(欠点にばかり目がいく。悪い癖)
でもこれこそ忘れてはならないエピソードだった。

右だの、左だの、本当にくだらないことだと私は思う。
主義や思想も、国家への帰属意識も、民族もどうでもいい。暴力の本質は同じだ。
私は誰が誰に行うにせよ、弱い対象へふるわれる暴力が許せない。人として道理の通らない行いが許せない。
もし古代のエピソードがこのような非道理を防ぐために役に立つなら、伝えていくべきだと思う。
どうか伝えて欲しい。

関連リンク
 ・チベット問題
 ・ウイグル弾圧
関連記事
吉野 圭(Yoshino Kei)
Posted by吉野 圭(Yoshino Kei)
気に入っていただけたらシェアお願いします。要パスワード記事は引用しないでください(パスワードを貼るのも禁止です)
記事リクエストはこちらから:★コンタクト

管理用 anriy3@gmail.com