八陣図の元型? 「ホロスコープは陣形から生まれた」説を考えてみる

 歴史からSFスピリチュアル、果ては現代法律まで、我ながら色々書き過ぎているなと思います。
多ジャンルが渋滞しているブログで、まことに申し訳ないです。
占星術界隈の方々は最近かなり減った気がするな。

言い訳しておくと、前も書いた通り「壬」気質なので興味が色々と分散してしまうのです。(あるいは水瓶座気質と言ってもほぼ同じですが)
SEO的にはたぶん最も不利な性格なのだろうと思います。笑

やっと通常運営へ戻り、久しぶりに占星術の雑談を書きます。
でもやや歴史の余韻を残した内容で、陣形についての話。

以下、常体で書きます。


「古代、ホロスコープは陣形から生まれた」説があるらしい


前に少し触れたが、書けずにそのままとなっていた話。

ホラリー占星術師の河内邦利氏によれば、ホロスコープの12ハウスは古代の陣形から生まれた可能性があるという。
 ハウスが、なぜ12分割になったのか不明であるが、1つの仮説がある。旧約聖書には、レビ族(神に祈りを捧げる所有物を持たない一族)を別にして、12部族が登場する。聖書の記述とチャートが似ているのだ。

 聖書には、モーセが自分と同じ身分の奴隷達を引き連れて、エジプトからイスラエルへと移動をする場面がある。神はモーセに、移動中のテントを張る陣形について霊感を授ける。聖書の記述によると、神は、“レビ族を中心に置いて、四方に主たる部族を配置せよ”と命じ、更に、“主たる部族の回りに2部族ずつを配置せよ”と告げる。彼らは、その陣形を取りながら旅を続けたのである。停留のための陣形と、西洋占星術で使う「12のハウス」が、どこか似ている。

 アングルに主たる部族を配し、その回りに2つずつ部族を加えてみると、古典的な四角いチャートとそっくりな(図15)の陣形になる。

河内邦利『星の階梯Ⅰ』より
(図15)
筆者作成画像、粗くてごめんなさい。これはインド占星術でも使われる古代ホロスコープ。

陣形についてこの書籍で書かれている箇所はこれだけで、詳細は不明。
著者が言いたいのは、ただこの文献に基いて
「ホロスコープなんてものは神秘でも何でもなく、人間生活の営みから生まれたのだ」
ということのように思われる。

このタイプの先生は最近けっこう多い。占星術という神秘ジャンルでご飯を食べているはずなのに、何故か神秘を否定するという。
占星術を歴史学か文化人類学と同じだと考えられているのだと思う。そのような考えを持つことは構わないけど、だとしたらこのジャンルで飯を食うことは矛盾していると思うな。

なお、こちらの先生は文献を重視されている方。
そのため占星術を文献が残る時代以降の、比較的に新しい時代に誕生したものと解釈している。明確な文献が残っているのはエジプト王朝以降なので、ラー信仰の太陽崇拝に基づく占星術を正統と考えているらしい。したがって、当然ながら強固な太陽中心主義。天王星以遠の惑星も認めない。天王星以遠の惑星で当たっている場合があるとすれば「迷信」と一蹴するだろう。世間からは占星術そのものが「迷信」と呼ばれているのだけどそこは無視なのだろうね……。
(これらの点が納得いかなかったから、あまり皆様にお奨めしたくないと思って紹介を控えていました。初心者の方は購入をお控えください。上級者になって自分で考えられるようになってからがいいと思います)

ただエジプトやローマの文献にある占星術の話は面白かったし、上の陣形の話はとても興味が湧いた。
ちょっと考えてみたい。


陣形として、実用的にはどうなのか?


上の陣形は、「陣形」と呼んでいるが戦場の攻撃用ではないと思う。
軍隊以外の人々も含む、集団の移動用。
宿営(寝泊まり)の防衛から攻撃まで、幅広く展開できる形だと考えらる。

防衛が主目的となっていて、内側(中央)に女性や子供、高位の老人など弱い集団を抱え込み、その回りを親族など近親の男たちが囲む。
最も外側には外部の者、つまり雇いの兵士や援護部隊など戦いに適した集団を配する。
このような緩い円陣(狭い通りは四角)で移動していけば、敵に襲われた時も女性や子供を守ることができるだろう。

だからたぶん
「モーゼが脱出時に用いた」
と聖書にあるのは正しくて、部族で移動するためには理にかなっていると思う。

それとこれはおそらく、東洋における八陣図の元型でもあるはず。

西洋モチーフでは
「12」
で分割されるので分かりづらいと思うが、下のように外側の二部隊を一括りにすれば
「8」
となる。

(数字はただカウントのために表記しただけ。占星術のハウスとは一致していないので間違わないでください)

★八陣図とは:


諸葛亮も用いたと言われている陣形。
おそらくモーゼ時代に西洋で生まれ、ローマで用いられ、その後に東洋へも伝わった陣形だと思う。
あるいは、亮は異次元の方法で西洋時代の記憶を用いたのかもしれない、笑。/と言うのは冗談だけど、西洋の図形に馴染みは感じていた気がするな。なので得意としていた可能性はある。
(これは陰陽五行図とはまた別の話。ただ関連させることは可能かもしれない)


上の説は、たぶん逆だと思う


私が思うに、「古代、ホロスコープは陣形から生まれた」説は時系列が逆であるはず。

つまり
「陣形からホロスコープが生まれた」
のではなく、
「ホロスコープを陣形に当てはめた」
のでは?

東洋の場合、占星術や五行思想を陣形に当てはめたことはあっても、逆ということはない。
文献上もどちらが先かはっきりしているはずなので、
「陣形から五行が生まれた」
という話を誰かが唱えたとしても通らない。

同じように西洋占星術のホロスコープでも、陣形のほうが先ということはないだろう。

では何故、戦闘プロが占星術などの神秘図を陣形に用いるのか?
そんなことがあり得るのか?

答え。――あり得ます。

何故なら占星術などの高度な思想に基づく図形は、数学的で合理的であり、あらゆる場面で理にかなっているため。

太古から「神秘的な力が宿る」とされている図形が、物理学的にも理にかなった形であることは、最近少しずつ分かってきた。
たとえば神秘的なシンボルとされてきたハニカム(六角形)は、最もシンプルでありながら高い強度を出す形であることが分かったため、ロケットその他の強度を要求される物に応用されている。

このように太古から「神秘」と呼ばれている図形には、何らか物理にも影響を及ぼす力があるはず。
五行図や西洋ホロスコープも同様と思われる。
そのことはたぶん現役の戦闘プロなら直観的に理解できる。

また、影響は見える物理だけに留まらない。
古代人は占星術などに神秘の力を感じていたから、その形を利用するだけでも力が増すように思えて「見えない物理力」が増すと言える。

「見えない物理」とは、数字であらわすことのできる確定的な軍事力(兵器・兵員・兵糧等)を除いた、可変の要素のこと。※
兵士たちの精神の力も入る。「兵士の精神の力」とは単純に言ってしまえば「士気」ということになるが、現代で言う士気よりもう少し信仰心の意味合いが強くなる。「ゲン担ぎ」の強い意味合い、と表現したほうが正しいかもしれない。

だから西洋でも、陣形より占いのほうが先、と考えるのが妥当。

※戦闘における「物理」の意味


説明が必要と思うので他記事から転載しておきます。
〜実際の戦争は、子供騙しみたいなことの繰り返し。表(オモテ)は。
その代わり裏が大事で、物理的な準備(軍事力を整える。兵站を整え管理する)を徹底する。
現実の長期戦はそちらの物理的な力の差で決まる。
奇計だけで勝敗が決定することは、単発戦でない限りあり得ない。

 追記: ここは誤解する人が多いと思うので書いておくと、「物理的な力の差」には見える物理と見えない物理とがある。「見える物理」は兵器・兵員・兵糧など現に保有するものとして数値化できる軍事力。「見えない物理」には様々あるが、たとえばこちらの名に怯み敵が陣地を放棄する・地元住民がこちらへ援助する等々。天気も後者に含まれる。要するに可変ながらほぼ確実な状況の力。こちらは見えづらいが、軍事においては「物理」として計算されるべきもの。(ただし可変ゆえ、楽観的過ぎる計算をしてはいけない)


何が最も古いのか? 神秘も込みで考えてみる


このように考えて来ると、もしかしたらインドに伝わる四角いホロスコープはモーゼのエジプト脱出以降、陣形に当てはめた時に改変されたものかもしれない。

円形ホロスコープは新しいとする説が一般的。早くて紀元前一世紀頃とか。
その理由は、円形ホロスコープが古代に存在したことを裏付ける文献が見つかっていないから。
しかし、
「占星術は紀元前100年頃に確立した」
「古代には12星座さえもまだ考えられていなかった」
とする定説がギョベクリ・テペの遺跡発見で覆ったように(一万二千年前に今と同じ12星座の概念が存在していた。人間の文明社会が発生するより前に)、円形ホロスコープも原始から存在していた可能性がある。

もし宇宙人が地球原始人へ占星術の技術を与えたのだとしたら、円形のほうが先になると思う。
やがて陣形など実用に便利な「四角」へ改変され → もう一度高度な知識に戻ろうとした人々によって円形が使われるようになっていった。
こう考えたほうがしっくりくる。

占星術は文献ばかりに頼っていると真実が見えなくなるので、推測分析も必要だろう。
人類が文字を使えない時代に授かった知識なのだから。


(これはあくまでも思いつきのメモ。また暇があったら考えていきます)

 この記事内容を自分が考えたものと偽って盗用することを禁じます。

 


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