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明けましておめでとうございます。

楽観的になりきれない性分ゆえ、おそらく今年もまたネガティブな話を書いてしまうと思いますが、見捨てずにお付き合いいただければ幸いです。

さっそくですが、新年に相応しいと思ったご質問、回答させていただきます。

C様より:
クイーン独占インタビューの記事読ませていただきました。特に印象に残ったのは二人の「今の時代について」のとらえ方です。私は英国滞在歴5年目で移民ではなく純粋な"英国人"に囲まれているのでわかるのですが、EU離脱騒動中の現在でこのような思想を持つ"英国人"は極めて少なく、むしろネオナチが出回る事態です。しかし、今年2018年のクリスマスに放送された「Queens' speech」では女王も二人と似た国際主義的な発言をしたことにとても驚きました。今が混乱の時期であることがとてもわかる事例だと思います。

また、同じ時期に日本政府が表明したIWC離脱と商業捕鯨の再開ですが、これも国際関係という意味で日本を含めた世界に混乱を招くのではと個人的に危惧しています。私はこの捕鯨問題をよりニュートラルな視点で見識を深めるために日本を離れましたが、どの国の教授でも先入観抜きで客観的に語れる人は少なくとても虚しい思いをしたものです(自分語りすみません)。

そこで差し支えなければですが、吉野様は国際化についてどう思いますか?聞かせて頂けたらとても嬉しいです。
ご質問ありがとうございます。
長文の回答になりますので、見出しで整理しながら書きたいと思います。

1/2 捕鯨問題について追記 


クイーンメンバーのインタビューは時の缶詰だった

>EU離脱騒動中の現在でこのような思想を持つ"英国人"は極めて少なく、むしろネオナチが出回る事態です。

そうだったのですか……。英国の現在の状況は意外で、残念です。
もちろんEU離脱に表れた英国右傾化もネオナチの台頭もニュースで伝え聴いてはいましたが、極端な人は半数に満たないと思っていました。
アメリカも日本もそうですが、今はどこの国もナショナリズムに酔い、暴力性に中毒しているようですね。

クイーンの二人の意見は、1980年代には欧米人の一般的な考えではなかったかと記憶しています。
英国女王陛下も、かつては伝統に厳しい閉鎖的な方というイメージがありましたが(誤解だったらすみません)、80年代にダイアナ妃がもたらした開放的な意識を受け入れて変わられたのではないでしょうか。

クイーンメンバーのインタビューはまるで時の缶詰のように、あの頃の自由な空気感を一気に蘇らせてくれました。
同時に、人類はあれから何を間違えてしまってこうなってしまったのか、何が問題だったのかを気付かせてくれたと感じます。


国際化について

>吉野様は国際化についてどう思いますか?

私自身は
「人類全てがお互いの個性を認め合って、仲良くできればいいのに」
と思っています。
子供みたいですが。

とにかく、暴力がなくなって欲しいと本気で思います。
誰かが誰かに虐げられて泣くことが、この地上から永久になくなって欲しい。

親が子を虐待することも。
男が女性を殴ることも。
会社が社員を奴隷化することも。
国家が国民を拷問、虐殺することも。
強国が小国を武力で殲滅することも。
……全てやめて欲しい。どうかどうか、このような暴力がなくなって欲しい。

願うのはそれだけです。

だから基本的に私はクイーンメンバーらと同じで、「今のナショナリズム台頭は耐えられない」と思っています。
喜々として差別を愉しみ、暴力を快楽としている人たちの言動を耐え難く思います。

ただ、1980年代の文化リーダーたちと自分の意見が違うなと思うのは、方法についての考え方です。
どうすれば暴力をなくせるか? という問題について、私は単純に「国境をなくせばいい」とは答えられないのです。


単純なグローバリストになれない理由

私はいわゆるグローバリストではありません。
もしかしたら、反グローバリスト寄りと言えるのかもしれません。
と言っても、もちろんナショナリズムの意識からではなく、「システムとして有用だから国境は有るべき」と考える者です。

何故なら「単に国境をなくしてしまえば争いがなくなるはず」という考えは、幻想に過ぎないと分かっているからです。

ある国が垣根を低くして移民を増やし、民族を混ぜこぜにしたら争いはなくなったのか? ――否、それこそが混乱の元凶でした。
国境というものを形だけなくしても、人間の文化や思想の壁は消えない。
そんな心の壁を無視して、皆一律に同じ場で同じ生活をせよ、と押し付けたら反発を招くのは当然です。

また、国境をなくして世界を一つの政権でまとめることにはもっと恐ろしい落とし穴があります。
それは独裁者が政権を奪取することです。
国境をなくせば平和になるからといって、ナチスやK産主義のような独裁政権へ全世界を明け渡して良いのでしょうか。
答えは否、です。
戦争がなくなったとしても、拷問と殺戮が日常の恐怖政権の下では、決して心の平和は得られません。
「戦争がなくなるから私が世界統一をしてやる。これは平和のためだ」
と言って、世界を征服する言い訳にするのが独裁者の常套手段です。
そんな詭弁に騙されて、我々の世界を、人権(心)を明け渡してはならないと思います。

さらに言えば。
国境をなくすだけという無理な統一は一時的な平和をもたらしても、必ず政治が腐敗して国家解体、内乱が起きます。
そしてたくさんの犠牲をはらったあとに世界統一 → 再び分裂で内乱 → 統一 …… という無限ループを繰り返すことになります。 

このことの実例モデルとして、中華という良い例を世界は既に持っています
中華大陸は遥か古代に、始皇帝が統一を果たしましたが、その後に内乱と統一を繰り返し国家は衰退していきました。
現在は地獄の恐怖政治によってかろうじて統一政権が保たれていますが、虐げられ膨れ上がった人民の怒りはいつ爆発するか知れず、トップ自身も恐怖で眠れぬ夜を過ごしていることでしょう。
人民にとって革命だけが恐怖から逃れる唯一の方法です。しかし内乱になればまた多くの犠牲者が出ます。
悲しいことに……独裁も地獄、内乱も地獄です。

 関連記事: 今さらながら、安易なグローバリズムへの警鐘。真に多様な世界になるといいね
 (もう少し簡単に、具体例をもって同じことを書いています)

グローバリストたちは、中華を拡大した形で同じ轍を踏むつもりでしょうか?
そうなればもう地球上全て、どこにも逃げ場がなくなります。
安易なグローバル化に走り地獄のループを選ぶかどうか。世界は今、瀬戸際にあると言えます。


もう一つの選択、心のグローバリズムを

私は国境をなくすよりも他の方法があるように思うのです。
それはお互いが国家としての個性を保ったまま、尊敬し合い、認め合って交流すること。
たとえばファンタジーゲームの世界のように、人々は各国を自由に行き来できるが、旅した先でその国の個性的な文化が味わえるような世界が理想なのです。

文化の違いを強制で変えようとしないこと。
衝突してしまうなら無理に同じ場に居住せず、棲み分けること。
誤解と対立を生むテロリズムを防ぐために、国境管理と犯罪抑止はきちんと行うこと。
戦争好きの独裁者を生まないよう、国民の教育に各国政府は力を注ぐこと。等々

難しくて面倒な方法ですが、丁寧な仕事を積み重ねていけば不可能なことではないはずです。
ここまで文明が発展した人類ならできるはず。

労力が必要ならAIを使うことも今は可能です。高い壁を築くよりもそのほうがきっと効果的です。

時間はかかるかもしれませんが、今度こそ確実に差別と暴力をなくすために安易な方法を採ることをやめ、丁寧な相互理解を目指して欲しいものです。


/追記 「お互いの文化を認め合う」の考えから、私は日本の捕鯨文化についても世界の方々に認めてもらうべきではないかと思います。女性虐待などの人権侵害の風習でない限り、他国の文化は認めるべきです。……続き、別記事にしました『捕鯨問題について』

最後に

長文となって恐縮です。
何ら力のない自分がネットの片隅でこんなことを書いても意味がないかもしれません。
しかし天に願えば天気も変わることがあるのですから、願いの力を信じて上げておきます。

どうか現在のナショナリズム台頭は短期で終わりますように。
そして間もなく訪れる水瓶座の時代(冥王星)には反転し、今度こそ形だけのリベラルやグローバル化ではなく、「お互いに認め合う」といった心の自由世界が実現しますように。

この回答をもって2019年元日の願いとさせていただきます。


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吉野 圭-Yoshino Kei
Posted by吉野 圭-Yoshino Kei


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