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税務作業も目途がついたので、そろそろ通常運営に戻って無駄話をします。
最近の世間を眺めていて、険悪な話を除いて気になったのはアイドルグループの休止ニュースなど。

※この記事では敬称略

「速報」に脅かされた

夜のニュースだったか、女性キャスターが青ざめて目を見開きながら告げた。
「速報です! ……するとのことです。繰り返します……」
と、三回も。
彼女の形相と三回繰り返された速報で、「いよいよ戦争でも始まったか? どこかに核ミサイルが落ちたか」と思ってテレビ画面に目を向け、ニュースに聞き入ったのだが。
きちんと内容を聴くと
「嵐が活動休止宣言をしました」
とのことで脱力した。
なんて、平和な国だ。

その話はファン以外に何の関係があるんだ? 夜のニュースで青ざめた顔で速報することか??
と首を傾げた大人は私だけではないだろう……。
いつ戦争が始まってもおかしくない今のご時世、心臓に悪いから脅かすのはどうかやめて欲しい。

確かに大きなニュースに違いない。
影響力あるアイドルグループが活動休止すれば日本経済には打撃があるし、国家規模で受け止めるべき話かもしれない。
それと個人的には、嵐に属する5人は立派な青年たちだと思う。アイドルではあっても努力や人間性の完成度を尊敬している。彼らの話を聞くことは不快ではない。
でも一般向けのニュースで、記者会見を延々と放送し続けるのはどうかと思った。
さすがに彼らの発言の一部始終は、ファンではない者にとって関係がない。首相会見と同じレベルでノーカット放送し、放送後も繰り返し取り上げて詳細分析することか? それはファンクラブ限定のネット放送で流すべきことではないかな?

まあ個人的には学ぶところがあったから、小耳に挟んで良かったのだが。


アイドルを辞められるなんて、羨ましい

嵐の活動休止について真面目に感じたことを書いておくと、
「人生の途中でアイドルを辞めて第二の人生を選べるなんて、羨ましい」
と思ってしまった。

大野が以前から「アイドル」という職業に違和感を感じていたという話は知っていた。
コンサート舞台にて“なんで自分はこんなところにいるんだろう”と思うことが多いと言っていて、そんな彼に私はシンパシィも覚えていた。

十代半ばで世間のことなど何も分からない頃にその世界へ入れられて、一般社会の経験もないまま、幾つになってもアイドルを演じ続けなければならない人生の辛さは想像を絶する。
結婚も自由にできず、個人としての発言も不自由、道を歩くにも衆人に監視されているようで解放感ゼロ――この状態は実は、かなり重度の人権侵害に相当する。

それでも人気商売だから、他人からは羨望の眼差しで見られる。
だから苦しみを訴えてはいけないし、どのような言葉も呑み込んで生きていくしかない。

ただ現代のアイドルが恵まれているなと思うのは、一応は人権というものが考えられる社会に暮らしていること。表向き彼らは奴隷という身分ではない。
「アイドルを休止して、自分で生き方を選択したい」
と宣言することは許されている。
「無責任」などと責める最低な人間もいたのだが、多くの人は本人の意志を認め決断を尊重するのではないだろうか。


歴史人物もアイドルだとすれば

次元は違うが、たとえば各時代の英雄も広い括りで「アイドル」と呼べるはず。
でも、英雄には「辞める」という選択肢がない。命尽きるときまで。

場合によっては死んでさえもアイドルを辞められないということもある。
「歴史人物」などと呼ばれ永久的に忘れてもらえず、オモチャにされ続けるなど悪夢でしかない。
――まあ、本人は死んでいるから知覚できないことは救い。
仮に転生などというものが現実にあるとしても、来世人格には名が及ばないので関係がない、と思えばいい。知ってしまった本人的にはとてつもなく辛いのだが意識しなければそれで済む。
でも不運には違いない。

何が言いたいのかと言うと、生きているうちに
「アイドル辞めます(休止します)」
と宣言することが許される現代は素晴らしく稀有な時代であるということ。

自分の言葉で休止宣言をした大野はとても偉大で輝いて見えたし、彼の気持ちを尊重してサポートしている仲間たちの友情も清々しかった。
彼らはどうか今の時代の有難みをかみしめて、これからの人生を大事にして欲しい。
まっとうに自分らしく生きられる人生が、どれほど幸福で有難いことか。

たまたま触れたこのニュースにて自分の心も少し救われた気がした。
他人が幸福になるという話を耳にするだけで、自分の心も僅かに救われた気がしてほんの少しだけど楽になる。


「天才」って、辞められるんだ。知らなかったな

あともう一つ気になった話。
嵐の活動休止ニュースの陰で、“ぼくのりりっく”という若いアーティストさんが辞職したらしい。

存じ上げなかったので、「有名になり過ぎて疲れたから辞めます」などと言われても「はあ? 誰だよ」と失礼ながら思ってしまったのだが。
弱冠二十歳でこれから広い世間に向けて売り出すべき人が、「偶像崇拝されて疲れたから辞める」と仰る。
嵐やSMAPくらい国民的アイドルになってから「疲れた」と言って辞めるのなら理解するが。
たいていの大人は、(笑) の文字しか浮かばないだろうね。

※上の(笑)の意味: 可愛いな、というほどの意味。侮辱ではないので誤解なさらないように。

……しかし……、今回初めて知った。
「天才」って辞められるんだ。知らなかった。衝撃の新境地だ。笑

「天才辞めます」発言には苛立ったオジサンたちが多いと思う。
「何コイツ」
「なめんな勘違いのガキが」
と思った人が多いのでは。

私もさすがに思った、「天才なめんな」と。
いや、天才と呼ばれる苦しみをなめんな、という意味。
(もちろん自分で自分のことを天才だと思っているわけではない)

自分だったら表立って堂々とこんな「なめたこと」は言えない。他人の気持ちを踏みにじり憎まれると分かっているからだ。

それに、逃げるには少々早過ぎる気もする。
正直まだ彼はそこまで苦しんでいないのではないかと思った。

しかし、苦しみも浅いうちから過敏に反応して、
「天才辞めます」
宣言ができるのも現代の良いところか。

個人的にはこちらの話も救いの話となった。
こういう発言をしてもいいのだなという新たな発見をしたために。正確には「こういう発言をしても良かったのだな」という過去形だが。

こんな選択肢を見せてくれただけでも、何だか少し救われる気がする。
現実には逃げることが不可能だったとしても、他の選択肢を見せてくれるだけで救われるものだ。


まとめ

今の若い人は思ったことを素直に口にして、思うまま生きようとする意志を持つ点、本当に素晴らしい。

自分の思うまま生きる姿はそうできなかった他人を救う。たとえ過去形であっても。

思いがけず良いものを見させてもらった。
自分の心を堂々と表明して、アイドルという苦行から脱した彼らには幸せになってもらいたい。

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吉野 圭-Yoshino Kei
Posted by吉野 圭-Yoshino Kei


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