ユング心理学と占星術融合への疑問

占い館でいずれ書こうと思っていますが、とりあえず備忘録で考えをメモしておきます。

鏡リュウジ著『占いはなぜ当たるのですか』を読み返していると、いつか歩みかけた懐かしい道を思い出します。
秋山さと子の『ユング心理学』を手に取ったのは高校一年の時だったか。
外向・内向、思考・感情・感覚・直観の分類は目からウロコで、衝撃を覚えたものです。
以来、ユング系の解説書や夢分析の本を読み漁りました。

そもそも、それらの本を読み漁るきっかけとなったのは16歳時に見たあの「狼の夢」を分析するためでした。
そしてお決まりの「シャドウ」だの「老賢人」だのアーキタイプに分類し、苦心しつつ夢解読を自分なりにまとめたりしましたっけ。
・オオカミ=シャドウ
・最後に表れる鳥=老賢人
等々。

しかし私が心理学にはまらなかったのは、それらの夢分析が完全なる間違いであったと後で知ったからです。
「シャドウ」だの「賢人」だのに苦しみつつ当てはめたシンボルは、全て前世の記憶の断片に過ぎず、何ら現在の精神状態も未来予測も示していなかったと判明したのです。

具体的に言うと、記憶が動物キャラにすり替わっただけなのでした。

・小動物=庶民
・オオカミ=権力者
・肉を食べる=庶民から搾取すること、独裁者になること
・肉が食べられない=搾取出来ない
・キツネ=最後に戦った敵将
・キツネの言葉=敵将が死後に言った言葉
・最後に表れる鳥=生前の主人

ついでに言えば、何故「オオカミ」というキャラが選ばれたのかと言うと、これは前々世のギリシャにて学んだ「独裁者(僭主)は狼である」という記憶が残っていたからでしょう。
つまり動物キャラへの変換の過程すら、記憶の断片に過ぎなかったわけです。

ユング心理学の信奉者の方には申し訳ないのですが、やはり夢は集合無意識からのメッセージであることは滅多になく、ほとんどの場合このように退屈な記憶の断片の組み合わせに過ぎないのではないでしょうか。
現実で思い当たらない記憶が含まれる場合、ぞれは前世の記憶だからかもしれません。

私はこの経験を経て心理学的な夢分析に疑いを持ちました。
完全に疑ったわけではないが、「全ての夢をアーキタイプで分析するのは間違い」と思いました。
それで、占星術に関しても【心理占星学】というジャンルには踏み込めなかった次第。

その後、出会ったのが松村潔の『夢分析』という本でした。
これが松村潔との著書の最初の出会いだったのですが、彼はその本の中で
「夢に淫するな」
と書いていました。
つまり、
「あまり夢のイメージを深読みし過ぎて誇大に解釈し、こだわってはならない。冷静に、現実の日常に添った解釈をしなければならない」
という意味です。
事実として神秘的な夢が記憶の断片でしかなかったという経験を経て、心理学一辺倒の夢分析に疑問を持っていた私は「これだ」と思いました。
基本的には松村氏も夢のイメージを集合無意識的に解釈していたと思いますが、彼の凄いところは、彼自身がオカルティストであり神秘や占いを「事実」と捉えることが可能だったことでしょう。

神秘は「事実」とするなら一気にその後光を失い、地上の現実と同じく広がりのないイメージとなってしまいます。
地上の人たちから見れば前世・来世も「あり得ないこと」ではありますが、いったんそれを事実と受け入れたなら、一段階上の狭い現実に過ぎないのです。

固定された現実にはもはや広がりなく、退屈です。
その退屈を避けるため、心理学好きな人たちはイメージを広げよう広げようとするのでしょうか?
もしかしたらユング自身もそうだったかもしれません。
(ユングの場合は自分自身にも霊感があり、死後の世界もたびたび行き来していたようですが、宗教的な背景や反オカルティズムに遠慮して「科学」の心理学領域から出ることが出来なかったのかもしれない)

でも実際、鑑定をしていると思うんですよね。
「占星術は拡大解釈ではなく、広いイメージの中から一つだけ解釈を選び取ることだ」
と。素人のくせに生意気ですが。
つまり占星術は、氾濫するイメージの濁流の中から、その人だけの現実的な解釈を選ばなければならない。そうでなければ鑑定にならないし、実生活に何ら役立たない。

むしろ拡大より縮小です。
そのほうが遥かに難しい。

【心理占星学】のファンは激しく反論するでしょうが、やはり占星術は技術であって、事実・現実としての神秘を写し取った写真を「正しく」読みとることに意味があると思います。

私に対して
「土星から苦手な分野は何であるのか分析してください!」
などと土星=シャドウとする技法をしつこく言ってくるお客様がいたのですが、私は土星をシャドウとは思っていないので受け入れることは出来ませんでした。
(その技法を行っている先生のところへ行ってください、と丁重にお断りしました)

無論【心理占星学】が全て間違っていると言うわけではないです。
参考にして取り入れるべきところは取り入れたいと思います。
しかし何にしても、他人が唱えた説を無考えに鵜呑みにし、誰にでも強要することだけはやめたいものですね。