2020
Jul
10
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アカデメイアと世界の秘密 1 (改めて解説し直し)

プラトン時代のアカデメイア。Wikipediaより
先日書いた記事
『グランドクインタイル(五芒星形アスペクト)はどう解釈する? 他、占星術以外の五芒星シンボルの意味 』
のなかで、アカデメイアのくだりが理解できなかったとのお話をいただきました。
私もたぶん読んでいる人がわからないだろうと思って、補足として
『「ネイタルの意味を知った…」について説明 』
という記事で解説してみたのですが、ますますわからなくなってしまわれたかもしれません。
前知識が必要なのに書き忘れてしまったし、後半は『永遠』一話を読んだ人にしか理解できない自分語りとなってしまいました。
(該当記事は書き直しのため削除)
改めてもう少し丁寧に解説しておきます。
ついでに、アカデメイアと世界の秘密についても少し触れます。
※後半は筆者の作品内容に触れるため限定公開とさせていただきます
前知識 「アカデメイア」とは何か?
そもそもこの名称が、日本では一般にあまり浸透していませんよね。
ご説明します。
【アカデメイア とは】
端的に言えば、古代ギリシャの大学のことです。
著名な哲学者、プラトンという人が設立した大学校。
もともとは郊外に祭られていた神の名を表す地名でしたが、その地にプラトンが学校を設立し有名となったので、地名がそのまま学校名となったそうです。
英語でacademy(アカデミー)と言えば、学会や学術団体の意味。
academic(アカデミック)は、学術的・学問的という意味を持ちます。
これらの単語は全て、古代ギリシャ語の Ἀκαδημ(ε)ια(アカデメイア)からきています。
アカデメイアで学ばれた学問は、
・天文
・数学
・幾何学
・体育
・哲学
等です。
そこで教えられた学問の内容はプラトンの理論に基づき、きわめて形而上的(現代で言うところのスピリチュアル)な要素を持っていました。
“見えない世界”つまり、永遠に存在する魂の行き場所~輪廻転生があることを前提とした学問です。
これはプラトンが数秘術の祖、ピタゴラスの影響を受けていたためだと現代では言われています。
(…確かに彼がピタゴラスの教えを受けたことは史実なのですが、輪廻転生説はピタゴラス派だけではなく当時の地中海人の多くが当たり前に信じていた考えです。宗教に限定されない一般の思想。ちょうど多神教で輪廻を信じる日本文化に似ています。ギリシャ人の小泉八雲が言う通り、古代ギリシャと日本の文化思想は共通項が多いようです)
アカデメイアは長いこと学問の殿堂として多くの学生を集めました。
ところがキリスト教の台頭とともに「異教徒の学校」として敵視されるようになり、6世紀には強制閉鎖されたそうです。
自由に思考すること自体が禁止された時代
何故アカデメイアが敵視されたのでしょうか?
それは「一つの神」を崇拝することしか許さないキリスト教の権力を侵すとして、警戒されたからでしょう。
個々人が、自分の頭で考え・自由な言論をし・自分自身で真理に到達するための学問など、民を奴隷と考える独裁一神教が許すはずありません。
思考停止して従わない者には全て「魔女」のレッテルを貼り、拷問の末に処刑する宗教です。
(現代のどこかの国そっくりですね。あの恐怖思想は一神教から生まれたので当然なのですが)
こうして、アカデメイアの学問は表の世界から抹消されました。
具体的に言えばスピリチュアリズム(形而上学)の歪曲、焚書、数秘術師たちの迫害などが行われました。
プラトンは西洋で大変人気であったために歴史から抹消されることはなかったものの、どうやら著作の改ざんは大いに行われたようです。
彼の哲学も、何故か彼から見て未来に生まれるはずのキリストを崇める神学として歪曲されてしまいました。
それまで天文学の一部であったギリシャ占星術も「魔術」として敵視され、占星術師たちは大変な迫害を受けたようです。魔女狩りで火あぶりとなった占星術師も大勢いました。
暗黒の時代到来です。
この頃から西洋では占星術師、数秘術師、自分の頭で自由に考えたい人々…つまりほとんどの人間的な学者・技術者は全員、地下に篭もって日陰者として暮らすことを余儀なくされました。
メディチ家のプラトン・アカデミア
しかし、それでも思想・文化が潰えることはありませんでした。
地下に潜った有志たちが密かに、脈々と知識を伝えていったからです。
現代人の我々が手にしている西洋占星術の知識は、その地下組織によって伝えられた学問の一つと言えます。
命懸けで伝えてくれた人々がいなければ、我々はこの知識を得ることなく過ごしていたことでしょう。
もちろんほとんどの一般人は占星術を知らずに過ごしているので必要ないと言われるでしょうが、笑。
占星術という古い叡智が現代へ伝わっている事実にこそ、凄まじい意義があるのです。
そんな叡智を日の当たる場所へ引き出すことに貢献したのが、15世紀イタリア、メディチ家のプラトン・アカデミアなのだと思われます。
私も最近知ったことですが、メディチ家のアカデミアはレオナルド・ダ・ヴィンチが通った私的な学問サロンとのこと。そこでは古典復古を目指す人々が学習を続けていたそうです。
そのサロンの名前から分かる通り、プラトン時代の「アカデメイア」の教えを伝えるためのサロンだったのでしょう。
長らく地下に篭もっていた古典伝道者たちが、有力者の保護のもとで少しだけ活動を始めたのがルネサンス期なのかもしれません。
【参照】 レオナルド・ダ・ヴィンチはアカデメイアの卒業メンバー?
ただしルネサンス以降もしばらく魔女狩りが欧州を席捲し、暗黒時代が続きます。
古代文化が声を取り戻すには、近代まで時を待たねばなりませんでした。
続き。>>アカデメイアと世界の秘密 2 私の前前世記憶と、泣いてしまった理由
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