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    『トリリオンゲーム』最終回感想。三国演義?爽快な勝利の物語、楽しめました

    ドラマ『トリリオンゲーム』最終回まで観ました。

    ※ネタバレありますのでまだ観ていない方はご注意を※


    ドラマ全体の感想


    爽快な大逆転勝利ドラマで面白かったです。
    かなりご都合主義なところはありますが、フィクションだからこのくらい爽快なほうがいいんじゃない。

    しかも一応は筋の通る勝利の説明があるところが素晴らしいと思います。

    たとえば「株主がハルたちの思惑通りに動くか」という点、現実では相当に時間をかけて根回ししなければ難しいでしょう。あれほど多くの株主が、いきなり訪問してきた若い役員の話を信じてインサイダーに乗るとも思えず…。
    だからこういった実現するとは考えにくい“前提”についてはフィクションならではのご都合主義があるわけです。

    ただし
    IF文 「もし ~ならば」
    という前提がクリアできたときに勝利を得ることはストーリーとして筋が通るので、フィクションならば大合格。
    始まりと結に綻びがない、すっきりクリアな物語となりました。

    ファンタジー(偶然が必要な奇跡)に逃げない展開も良かったですね。
    ご都合主義があるとは言っても、あくまでも現実ルールのなかで針の孔を通るように勝利を得た。この現実設定でのギリギリの戦いが私は好きです。

    特に現実的だったのはドラゴンバンクの悪事を暴いても「デマデマ!」の大声で潰されたところ。
    ネットニュースである団体の犯罪を暴いたとしても、大手メディアは「放送しない自由」とやらを振りかざして情報を握り潰します。それどころか「デマデマ!」「陰謀論、陰謀論!」と大声で叫んで事実情報をかき消してしまう。メディア占拠と大量の工作員投入であった悪事を無かったことにしてしまう……今も狭い世界でこんな言論封殺が続いていますが。

    まさに昨今の世界で我々が経験し続けていることがドラマの中で描かれていて、現実を分かっているなと感心しました。
    しかもこのドラマではその先の手も用意されていたので素晴らしいと思います。
    通常のドラマだとメディアで犯罪を暴き、めでたし・めでたしとなることが多いですね。そんな結末はアチラ側(メディア権力側。プロパガンダの言論操作でどんな現実も自由自在に創作できると考えている)が創り上げた妄想。
    「ネットニュースごときで犯罪を暴いても圧倒の勢力に潰されるだけ」
    という絶望を作者が知っていて描いてくれた点、非常に良かったと思います。

    現実で悪魔と戦っている人たちへのリスペクトを感じました。
    しかしTBS=デマデマ叫んで事実を潰す巨大権力側がよくこれを放送したなと思いますね。きっと批判の刃に気付いていないのでしょう。独裁状態にあぐらをかき、「自分たちの犯罪はバレていない」と信じているから。……痛々しい。


    三国演義の匂いが強過ぎです…


    現代世界の闇はさておき。
    かの国の庶民なら「ハオハオ(好好)!」と喜んで拍手喝采しそうなドラマだと思いました。

    『トリリオンゲーム』は中華圏で『半沢直樹』とともに人気爆発しそう。
    あの人たち、きっとこういうの好きだろうなあと分かります。
    だって『三國演義』の匂いが強過ぎる。笑
    (ただ『トリリオン』は資本主義・自由主義そのものを描いたドラマだから、今のかの国で観ることが可能かどうか不明)

    いっぽう小難しく考えがちな日本人の一部は、私が上で述べたご都合主義「インサイダーに乗る人がいるとは思えない」点などで引っかかりを覚えこのドラマを退屈だと感じたでしょう。
    その前にそういったタイプは始めの段階で「アホくさ」と言って観るのをやめているのではないかな?

    実は私もいつもなら小難しく考えるタイプ。だからこのドラマも3話くらいで挫折しそうになりました。
    「現実そんなにうまくいかないよ」というご都合主義は手抜きに見えてしまい、物語に付き合うのがだるくなってしまうのです。
    ただ『トリリオン』は家族が「面白い!」と言ってかぶりつきで観ていたし、ハルとガクの友情がどうなるか興味があったので最後まで眺めることになりました。

    ハル→史実劉備 ガク→史実孔明? 癒された現実的な描写


    このハルとガクとの友情は史実・三国志をイメージしたのかもしれないと想像しています。

    ハル→史実の劉備(ハッタリ作戦は呉人や法正ら)
    ガク→史実の孔明

    という感じでしたね。

    SNSでも呟いたのですが今回のドラマで私個人的に最もツボだったのは、ハルがガクを他社の人に売り込んでいる場面。
    「うちの天才にお任せください!」ハル
    (ぎこちなく笑いながら)「…はいぃ、天才で~す」ガク
    笑いました。
    ガクくんには共感しかありません。
    あの諦めた後の開き直りで乗るしかない感じ、分かるなあ。ものすごく分かる。

    あのように売り込まれた場合、後が大変になると分かっているのですが「やめてくれ」は言えません。
    ハルみたいな(劉備も)アドレナリンが出まくる性格の人には言ってもどうしようもないですね。
    そもそもハルは(劉備も)相方評価については嘘をついているつもりは微塵もなく、本気で言っているから抗議しても無駄です。
    「本当のことを言って何が悪い?」以上。終わり。
    だから諦めて開き直り、ぎこちない笑いで「はいぃ天才です」と乗るしかありません。

    『トリリオン』のドラマ中、表では天才として看板にされているガクが、実は毎日一人で会社に泊まり込み睡眠をとらず・食べることもおろそかにして仕事をしている様子が描かれていて。
    私は自分の記憶を思い出してしまい、つい「ああ……」とため息をついていました。

    作者さんは三国志をモデルに史実も投影して描いているのか? 
    それとも三国志など全く意識せずただの偶然なのか。
    偶然だとしても。
    表向き「天才」の看板を背負わされた軟弱者が裏側でどう過ごしているのか、現実を正確に見抜いてくれたことをありがたく思いました。深く慰められた想いがします。

    さらにこのドラマで嬉しかったのは、ガクくんには地味だが実力もあると描いてくれたこと。
    なおかつ、ガクには道義があり誠実に会社経営していくという信頼感がある。
    (私自身が他人から言われ続けたことを書くのも恥ずかしいですが… 客観的に見ると分かります)

    はっきりと台詞で表現されたわけではなくとも、ハルがガクについて
    「お前みたいな奴が世に出ないとダメだ」
    と思っていることは明らかでした。
    そのためにハルは自分が犯罪者となって捕まる危険まで冒しながら、ありとあらゆる手段を用いガクを引き上げていきました。

    ラスト。社長の椅子に座らされたガクが居心地悪そうにしていて
    「やっぱりここに座るのはハルくんのほうがいいよ…」
    と言ったのにも共感しましたね。
    私だったら、
    「無理無理無理。こんな椅子、居心地悪くて座れません! ごめんなさいっ」
    と言って立ち上がってしまうところですが。
    ちゃんと座り続けるガクは、むしろ偉かったと思います。

    私はドラマ中、ハルのガクへの気持ちがもっと台詞ではっきり表現されたらいいなと思っていました。でも、行動で十分過ぎるくらい伝わってきますね。
    これと比べたら史実の劉備はこれでもかというくらい表現していたと言えます。行動を見て分からないのはバカ、言葉でも表現されているのにまだ分からないのはもっとバカか精神が壊れている。

    そんな史実も思い出し、感動で胸が熱くなりました。
    それに励ましももらえた気がします。ガクみたいに、地味であっても持てる力を活かさなければならない。見込んでくれたハルのために。

    原作者さん、素晴らしい物語をありがとうございました。
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