三国志、歴史|隆中譚

    読書を愛すれば、現実が変わる by徳川家康

    昨日放送された『ヒストリア』は非常に面白い内容でした。

     ワシはコレで天下をとりました。~徳川家康の読書愛~

    戦国武将全般に、「おうちで大人しく本を読む」というイメージがありません。
    だから家康にも読書家というイメージはなかったのですが、いやはや凄いコレクション。
    彼は正真正銘の読書マニアだったのですね! 驚き、嬉しくなってしまいました。

    当時の武将が教養としてメジャーな本の内容を学んでいたことは当然と思います。特に儒学書や兵法書は必読だったのでは。
    しかし家康の場合は必読本として学ぶだけではなく、心から本を好み自主的かつ積極的に読書し、本をコレクションしていたようです。

    あれはもはや「愛」だ。
    本に対する正真正銘の「愛」。
    本が好きで好きで、愛しくて愛しくてたまらないという心が態度に表れています。

    バックアップシステムを伴う図書館を創ったのもその表れ。
    性根から本を愛しているので、部下が自由に読めるよう提供したのでしょう。
    もちろん為政者として深い考えあってのことだと思いますが、何より本への愛がなければあそこまでのことはできません。
    (単純に、「良いものだから皆も読んで! 絶対いいから!」という推薦の気持ちが根底にあるように思う)

    日本の知性が飛躍的に伸びるのはこの時期からだね。
    識字率が伸び、現代に至るまで技術力で世界トップにあるのは、なるほど徳川家康のおかげか…。

    つくづく凄い人だ。
    彼の話を耳にすると、なんだか涙が出てきます。


    正直、私は日本の戦国時代など全く興味がなかったので家康のこともよく知らなかったのですが。

    近年の大河ドラマなどのおかげで家康の詳細エピソードが放送されるようになり、江戸時代の法律や制度も知る機会が増えました。

    それらの話に感嘆することが多く、
    「徳川家康は、世界一の名君だったのではないか」
    という考えを深めています。

    (記録で分かる限りの時代において。古代中国には多くの名君がいたと伝わっていますが、どこまで事実なのか分かりません。劉備も天性の人格で名君になる可能性がありましたが、残念ながら人生の時間が足りず安定政権を持つまでには至りませんでした)

    まず、『伊賀越え』の話に彼の仁徳がよく表れています。※家康が危機に陥った際、かつて助けた伊賀の人々が恩を忘れず家康を救った話
    かと言って無暗やたらに仁を振りまくだけの人ではなく、締めなければならないところは締める。
    特に反グローバリズム姿勢、異国の宗教を禁じた政策が素晴らしかった。これらの政策については厳しい意見もあるが、私は正しい判断だったと思う。あの時、家康があの判断をしていなければ日本は既に無い。国は蹂躙され、この地に生まれる人々は現代でも泥沼の苦しみにあえいでいたでしょう。
    現代日本も家康に学ぶことが多いはず。お気楽な平和ボケのグローバル主義者に「ちょっと待った、家康を学べ」と言いたいです。

    家康はあまりにも賢い人で、私には彼が超人に見えます。
    派手なヒーローを好む人が多いため信長や秀吉に人気が集まっていますが、実は戦争で天下を取るよりも政権を続けることのほうが遥かに難しい。
    あれだけの長期にわたる安定政権を作り上げた家康は超人的な才能を持つと言えます。しかも長期というだけではなく、その内容が素晴らしい。上は民を慈しみ、民は自ら学び規律正しく生きた。もちろん悪い殿様や庶民も存在したが、道徳に反する行いは「恥」という概念で皆から一斉に非難された。心を養う教育が浸透し、誰もが真面目に人生に取り組み義務を果たした(義務を果たそうという気風が全国にあった)。

    どうしてあんな奇跡の国家ができたのか、どうして家康はあそこまで賢かったのか?
    不思議でしたが、家康が『孟子』や『老子』をよく引用していたのを知り、なるほどと思いました。
    家康は『孟子』たちの説く理想国家を、本当に素直にその通り実現しようとしたのですね。
    凄いことです。「素直」こそ奇跡です。
    他の国の為政者は、いくら『孟子』を読んでいても実行などしませんから。本に書かれたことは、しょせん本だけのことだと考え、実行しようとさえ思わない。実行しようとすれば「バカな理想主義者だ」と嗤われるだけです。

    もちろん本の力だけではなくて、家康の天性の才能があったからこそ本を活かすことができたのだと思います。
    ただ結果として家康が本を愛したからこそ、あのような奇跡が実現できたのだということ。


    人が本気で読書を愛すれば、現実も変えてしまうことがあるのだな。

    「本は本」として趣味で愉しむばかりだった私も反省し、もう少し本気で読書愛を燃やさなければと思いました。


    追記、反省

    現代の自称読書家たちを眺めていると、読書を薦める気がなくなります。
    本が好きでもないのに読書量を競争する目的でしか読んでいない人が多い。明らかに「買いました自慢」をするためだけに芥川賞作品を購入し、SNSに写真をアップしている人もよく見かけますね。

    自己啓発本しか読まない人も多いです。同じ種類の本しか読まず、教養は一切深まらず、奇妙な和製英語の言葉ばかり連発して「オレの知識力、凄いでしょ?」と言われても返答に困ります。


    こんな時代だから私は他人に読書を薦めません。
    それどころかつい、「心から読みたいと思うのでなければ本なんか読むな」と言ってしまったりします。

    いや過去には薦めたことがあるんです。
    しかし薦めたところで、その人が読んだことのないジャンルだったりすると責められていると感じるのか、「私は文学なんか読んだことありません! 何か悪いのッ?」とヒスを起こされたり。
    「そんな本を読んでても偉くないよぉ?」と競争心を剥き出しにして絡んでくる人がいたり。
    こういう反応が嫌で他人に読書を薦めることをやめました。


    でも家康を見て反省。
    良いものは良い、好きなら好きで、素直に薦めるべきなんでしょう。
    今のままでは日本の知性は落ちていくばかりですから。
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