神秘・占星術

    性善説オンリーではバランスが悪い

    マイケル・ニュートン氏の本、二冊目を読んでいます。
    レポートを再開する前に、読んだところまで(二冊目の60%)の全体的な感想を述べておきます。
    ※批判的な感想もありますのでご了承を

    ニュートン氏の報告の内容は全て興味深く、真実に近いのだろうと推測しますが、前作の途中から少し飽きてしまいました。すみません。

    何故だろう、飽きてしまったのは。
    各ケースの紹介が淡々としていて短く、事務的なせいか。その点、各ケースの人生に寄り添って深く読み解いているワイス博士の本のほうが圧倒で感動があるし、地上で生きる我々には学ぶところが多い気がします。
    やはり私は「地上の人生を生きるために人々はどう心がければいいか?」ということに興味があるんだな。


    それといくつか腑に落ちないことがあり、その部分で共鳴できず入り込めないようです。
    腑に落ちないのは前にも書いた通り、ニュートン氏が主張する以下の点です。

    ・魂は全て「善」のみである
    ・地上で「悪」を成すのは、肉体が「悪」でありコントロールできなかったから
    ・肉体という宿主に心(意思)がある
    ・スピリット界(霊界)は心地良い天国のような世界のみで構成されている
    ・地獄も悪魔も存在しない

    未熟で肉体をコントロールできないため悪行を繰り返してしまう魂もいる、とニュートン氏の被験者たちは述べています。
    そんな魂は地獄に行くわけではなく、反省室みたいなところに隔離されてしばらく休むだけだそうです。次回また新たな人生にチャレンジするわけですが、それでも悪行を繰り返してしまうなら、いずれエネルギーを改変され作り変えられるらしい。

    被験者たちの語ったデータを報告しているだけですから、間違いではないのだろうと思います。
    ただニュートン氏の宗教観や思想が全く関与していないのかというと、そうとも言えない気がします。
    もちろん催眠術でニュートン氏が被験者を誘導していると主張するわけではありません。
    前にも書いた通り、彼のガイドが彼の思想に合うような被験者だけを連れて来ている可能性があるのでは? ということです。ニュートン氏が拒絶反応を起こしてこの勤めをやめてしまわないように、です。

    上の本の冒頭に、講演会でニュートン氏がある男性からこのように責められる場面があります。
    「大先生(ニュートン)のおっしゃることはごもっともだが、世界中の人間を催眠にかけてみないかぎり、邪悪な力はないと断定できないはずだ!」

    私もこの男性と同意見です。
    この男性が「邪悪な力」と呼んでいるのは、たぶんキリスト教で言うところの「悪魔」のことなのでそれはどうかなと思ってしまいますが、「肉体のせいではなく悪に流れがちな性向を持つ魂」が存在すると考えたほうが筋が通ります。
    善に向かう魂が存在するなら、悪に向かう魂も存在すると考えなければ整合性が取れないでしょう。

    キリスト教徒たちが信じているように、「全ての悪行は悪魔のせい」と考えるのは間違いだと私も思います。他者に責任をなすりつけるのは間違いです。
    しかし「悪行を邪霊のせいにするな」と言うなら同様に、「ニュートン氏よ、魂の悪行を肉体のせいにするな」とも言えます。

    ニュートン氏が催眠を行うなかで、被験者から軽く叱られる場面もあり印象的でした。
    ケース21:
    ニュートン  あなたは深刻なダメージを受けた魂とワークしていますが、詳しく話してもらえますか。
    被験者  私は悪の泥沼にはまった魂を扱う特別なセクションにいます。
    ニュートン  (異世界に転生してきて今回地球で亡くなった魂を扱うと知って)ここにいるのはハイブリッドと呼ばれる魂たちですか。
    被験者  そうです。私たちは修復エリアで残虐化した魂たちを扱っています。
    ニュートン  そんな恐ろしい呼び方をするんですか!
    被験者  すみません。でもほかに何と読んだらいいですかね。ひどい悪事を犯して、このままでは救済されない魂たちですよ。
    ニュートン  それはそうですが、人間の肉体も大きく関与していたはずで……。
    被験者  (私をさえぎって)それは言い訳になりません
    ここにニュートン氏の「純粋性善説」とも言える思想が垣間見える気がします。

    彼は他にも何度か被験者たちから、「魂が自分の悪行について責任を免れることはできない」と諭されていますが、本心から魂に罪がある(カルマを負う)ことを納得しているのかどうか疑問です。

    ニュートン氏がたびたび「脅迫」と呼ぶ、地獄に対する神経質なまでの拒絶反応は、もしかしたら彼がキリスト教圏で育ったせいで身に着いたものかもしれません。
    彼らキリスト教圏で育った人の思考ベースには『キリスト教会の教義』があり、反発するにせよ信じるにせよ、常にその教義からスタートしている気がするのです。

    このあたり、我々キリスト教に馴染みのない者にはピンと来ない感覚です。
    地獄があると考えることの何が悪いの? と不思議に感じてしまう。
    東洋では地獄が「脅迫」となったとしても、ただ子供の道徳心を養うのに役立つ程度で、特に害がなかったからでしょうか。
    (たまにアジアでも悪霊を除霊してやると言って金品を奪う人がいますが、キリスト教会がやったように組織的で大規模な恐喝が行われたことはなかった)

    ニューエイジな人たちが地獄や悪魔の概念を「脅迫」と呼び反発するのは、キリスト教会が「悪魔」と「地獄」の概念で人々を脅迫し、金品を搾取してきた歴史があるからでしょう。
    教会の悪行を防ぐためには、地獄や悪魔を否定するしかありませんね。
    だからアンチ教会なニューエイジたちは、地獄や悪魔を含めて全ての「怖いこと」を否定するのだと思います。神経質なまでに。

    ……でもそのような、一部宗教に対する反発心で真実に近付けるのでしょうか?


    世には全てにおいて、陰と陽があると言われています。
    この陰陽説は、物理の世界でも精神の世界でも証明されつつあります。

    陽があれば陰がある。
    と言うことは、被験者たちの語った「天国」があるなら、対となる「地獄」もあると考えなければ筋の通らない話になります。


    たとえばスピリット界に教会などの地上的な建造物があることについて、ニュートン氏は
    「スピリット界の景色は魂たちが地上で培った記憶や、心理状態で創られている」
    と述べています。
    もしそうだとすれば、地上での記憶や心理状態を反映して、退廃した景色や残酷な景色が存在しなければおかしいでしょう。
    (地上の人間の心には、退廃した世界も残酷な世界もあるのだから。死ねば善いほうの世界観だけ残り、即座に悪いほうの世界観だけ消え去ると言うのは筋が通らない)

    ニュートン氏の被験者たちには、悪行を成して隔離部屋に閉じ篭っている人々を「外から」眺めた経験しかないようです。閉じ篭った側からの報告がない。
    もしかしたら、隔離部屋に閉じ篭っているときの魂が見ている世界は、文字通りの「地獄」なのかもしれません。
    それは処罰として落とされる場所ではなく、本人が自ら陥っている世界観なのですが。

    他のスピ本にも
    「人間だった頃の心を反映して創作された地獄」
    の存在が報告されています。
    また、キリスト教会の搾取とは何ら関わりのない東洋などにも、同じような地獄の伝説があります。
    この世界中に共通する地獄伝説の全てを否定する理由は何もないはず。

    したがって、地獄が存在すると考えたほうが理屈として綺麗です。
    同様に、悪行を重ね、悪の中のリーダーとして君臨している魂もいるはずです。善行を重ねたレベルⅤの魂がいるならば、その対となる反・レベルⅤの魂もいると考えるのが妥当だからです。


    世の中全て性善説で考えるのはバランスが悪いし、バランスを失えば必ず不都合が起きます。

    彼の本には興味深い報告が山ほどあるのですが、ただ一点、この著者のバランスを欠いた解釈だけは受け入れられないなと思いました。

    (次記事からは批判ではなく面白かった話のレポート)
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