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物語ジャンル、舞台設定による深い溝

今、旧『little life』/『あの頃、君は僕の隣にいた』(以降『あの君』)最終巻の原稿を見直しています。
読み返すと、小説で描いた通りの思い出の景色が蘇ります。

『あの君』は前にも書いた通り、筆者の「IF」を描いた小説で現実そのものではありません。
我ながらあり得ないことに(笑)、『僕が見つけた前世』というファンタジーのほうが圧倒で実話率が高い。
反対に『あの君』は、「IF」の分岐点(八歳)以降、今世では現実に経験しなかった設定を描いています。

しかし、読み返して客観的に思うに。
小説として現実風なのはやはり、『あの君』のほうでしょうか。
ストーリー設定はともかくとして、『あの君』では筆者がこの目で見た景色や空気感を極力そのまま描き出そうと努力したのは確かです。

言わば、『あの君』は今世の思い出スケッチです。


これまで一度も作家を目指したことがない私は、一からフィクションを構成するという小説的技巧を身に付けることのないまま書き続けてきました。
だから、ほとんどの小説が思い出のスケッチであると言えます。

『我傍に立つ』を書いた当初から、ただひたすらに
「自分の中にある映像を書き残しておく」
ことを最大の動機として小説を書いてきたものです。

(思い出を描くのは、痛みを訴えて同情してもらいたいから、ではありません。魂に刻まれている記憶を素材としてご提供しているだけです。リアルな記憶は、他人にも役立つのではないかと信じて)

その意味で、実は本質的に『我傍に立つ』と『あの君』は同じです。

しかし多くの人にはシチュエーションしか届かなかった気がします。
旧『little life』を発表した当初、『我傍』の読者様から
「前作と違い過ぎる。あなたは現代小説などという、くだらない小説を書くべき人ではない。前作と同じ壮大な物語を書くべきだ」
とお叱りを受けました。
ありがたいご指摘でしたが、複雑な気持ちになりました。

戦乱の世と、平和な国に生きている現代と、――本質的に何が違うんだろう?
と。


確かにシチュエーションは大事と思います。
舞台設定だけで物語のジャンルそのものが変わってしまう。

そして、たいていの人があるジャンルに強いこだわりをお持ちです。
あるジャンルを好む人は、他のジャンルに徹底してそっぽを向く。

だから私の小説を横断して読んでいる人はいないのですね。
いつも描いている時代が違い、舞台設定が違うので、ある一つの作品を非常に気に入ってくださった方でも他の作品は読んでくださらない。

特に、旧『little life』は『我傍』や『永遠』と別物と思われていました。
この二種の読者は、徹底して分かれているように思います。
現代と、それ以外の時代の物語の間には深い溝があるようです。

『little life』←→『我傍に立つ』
と横断的に読んでくださった方は、思えば一人もいなかったようです。
その後、読んでくださる方が増えました。ありがとうございます

戦乱の時代と、現代ではそんなに違うように見えますかね?
自分としては何も変わっていないつもりでいるのですが、やはり生まれた国の社会情勢や地位などの舞台設定こそが大事なのかな。

これは小説について言っているようですが、私の場合は小説が「思い出スケッチ」であるため現実の自分に跳ね返ってきます。

上の読者様の、
「あなたはこんな、くだらない現代小説を書くべき人ではない」
というお言葉は、そのまま現在現実の自分へのお叱りのように聞こえます。
現代日本で、平穏な状態で生きている自分の存在は「間違っている」のか?
地位が高く、有名でなければいけないのか?
現在現実は、そんなに「くだらない」人生なのか?……

平凡の全否定。
それはちょっと悲しいですね。
戦争のなかったこの日本国での「ごく普通」の思い出を、私はとても大切に思っているのに。

「ごく普通」と現代日本人が軽蔑する人生が、どれだけ貴重で有り難きものなのか。
目の前にあるこの国の景色が、どれほど眩しい光景であるのか。小説によるスケッチで、僅かでも感じていただけたら嬉しかったのですが……。

という思い出を書いていた後に、KV様のレビューに気付きました。
驚きました。
もしかしたら『我傍』『あの君』を両方読んでくださった初めての読者様かもしれない。

しかもキャラが同じということに気付いてくださっている(笑)。

ありがとうございます。涙。
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