嫌な人のことばかり書いているので、小説を書いてきて何一つ良いことがなかったかのように思われてしまうかもしれません。
でも実はそんなことはなくて、サイトに掲載している通りたくさんの温かい声に支えられてきました。
さんざんな目に遭っても、サイトを続けて来られたのはその人々がいたから。
考えてみれば前記事の人、高評価のレビューを投稿した後に連絡してきて交際を求めるというのが、創作界隈ではルール違反ですね。
作者はレビューを書いてもらった時点で恩義を感じている。高評価のレビューならなおさら。
その恩義を感じる気持ちに付け込んで(というのは無意識であっても)、相手に否と言わせまいとする行為が狡いと思う。まずそんなところから、我がままさが垣間見えていた。
本気で作品への愛を叫んでくださる人に限って、ささやかで遠慮がちで、何も求めて来られません。
名乗ることさえしない人も多かった。
直接の連絡さえして来られず、ネットのどこかで愛を叫んでくださった方々。
筆者の小説を「良い思い出」として語ってくださった方。
『我傍に立つ』があるイベントで書棚に並んでいたとき、真っ直ぐその書棚に歩いて来て『我傍』を手に取ってくださった女性。私はその光景を偶然に近くで目撃していました。全く知らない女の人だったのだが、どなただったのだろう。ネットか何かで『我傍』を知ったのか。彼女は近くに作者がいることに気付かず、本を眺め嬉しそうに微笑んでいましたっけ。
言葉での感想ではありませんでしたが、態度と表情でお気持ちをいただきました。言葉以上に嬉しかったのを覚えています。
もちろん、サイトや小説をきっかけとして交流いただき、長年にわたり温かいメッセージをくださっている方への恩義は絶大なものがあります。
純粋な読者としての、掛け値なしの感想にも救われる・報われる。
かつて「読者と会わない」という方針のなかった頃。唯一会ったSという読者さんはストーカーになる片鱗も見せず(笑)、いつまでも人格者で優しかったですね。交際を続けられなかったのは、ただこちらの事情。
振り返ってみれば皆さん、一見積極的な方でも本性は遠慮がちで控えめ。
決して我がままなことを仰らない。
本気の愛とは、求めないものなのですね。
そんな愛に支えられているわけですから。
私は精神的に恵まれた、幸せ者です。
実社会ではなかなか「報われる」ことがない私ですが、それは本当に報われていることへの代償なのかなとも思います。