2016
Aug
28
-
『ゴーストバスターズ2016』感想
『ゴーストバスターズ2016』を家族で観てきました。
楽しかったです。
アメリカでは酷評で、登場人物を女性に変えたことで「フェミナチ映画」と言われ叩かれていたようなので心配していたのだけど。
参考:
http://yuichikawa.hatenablog.com/entry/ghostbusters-reboot-revivew
何これ、本当に酷いな。
アメリカ人もヘイトで狂っておる。(あ、元々そういう国か)
私は現代のハリウッド映画のように真面目で退屈なストーリーに堕ちることだけを心配していたのですが、予想外に痛快でした。
がんばってギャグも入れていた。相変わらずアメリカ映画のギャグはいまいち笑いどころが分からないが(笑)、コミカルにしようという心意気が感じられ嬉しい。
それとやはり、曲が昔と同じなことが嬉しいですね。音楽を完全に変えてしまうリメイク作品が多いなか、昔の曲を(カバーらしいが)使ってくれたのは本当に嬉しかった。大音量であの曲が響いた時は、子供の頃の楽しさを思い出してゾクゾクしましたね。
旧作ファンとしても怒るところなく楽しめた良作でした。
いや、怒るどころか現代の映像技術を上手く使ってパワーアップさせてくれた。リメイクでパワーアップする映画などほとんど無いので、これは奇跡と言えます。
ストーリーは、旧作世界の未来で「子供の頃にゴーストバスターズファンだった女子たちが会社を復活させる」、という話を勝手に想像していたら違った。完全に一から始める話なんですね。
確かにこのほうがオリジナルを知らない人も楽しめるか。
しかしこういう無理をすると失敗する映画も多いのに、ここまで疾走感のある話に仕上げたのは見事と思います。
ただ苦笑したのはゴーストを閉じ篭めるのが一回きりだったということ。しかも死なないゴーストを百人斬りしている(笑)。幽霊は死なないからこそ閉じ篭めるしかないのだ(故に解放され逃げ出す危険と隣り合わせ)という基本ルールを無視なのはどうかと思いました。やはりアメリカ人はゴーストとモンスターやゾンビの区別がついていない。
まあ、細かいところは目をつぶり、笑って楽しみましたが。
昔の役者たちを登場させていることも旧ファンには嬉しい。我らがヒーロー、ビル・マーレイがゴースト批判論者として登場し、すぐに死んでしまうのは少し残念ではあるが。
主役たちが女性なのは、最近の世の中の傾向でしょうか。大統領も首相も知事も女性ばかり。
性差別と言えなくもないが、映画の場合は単に女性客を映画館に呼びたいだけなのだろうね。
『ゴーストバスターズ』はもともと男の子向けの映画。だから登場人物を女性にすることで女性客も呼ぼうという作戦か。『スターウォーズ』で成功したから。
私は『ゴーストバスターズ』が女性ではちょっと無理があるのでは、と思っていたのですが。見ているうちに違和感はなくなりました。
若く美しい女の子たちではない、というところが良かったかもしれない。旧作では「冴えない」研究者たちなので、コンセプトとしては一緒か。
ただ、メインの女性二人の友情は、やはり男の感覚だと思う。ストーリーも男向き。そのまま男に変換しても違和感ないストーリーなので、旧作ファンの自分も楽しめたのだろうと思います。
これが本当の女性による女性のための「フェミ映画」だと、女の人しか分からない謎めいた台詞が多過ぎて理解不能となる。
「これ、何がどう面白いの??」
「あの台詞ってどういう意味?」
とずっと女性に質問し続けて怒られてしまいますね。
ところで今作の登場人物設定について、ネットで
「全員博士で技術者だ! 昔は一人素人だった。昔と違うじゃん、許せん!」
という批判を見かけたことがあります。
え、いや、昔と同じく一人素人だけどな? 旧作と同じで黒人さんね。
皆さん、本当いい加減だな(笑)。いったい何を見ているのだろうか。
(黒人は相変わらずブルーカラー、差別は改善されていないの件について。確かにこれを人種差別と見ることも可能だが、旧ファンへのサービスの意味のほうが強いのでは。上の通り、キャラ設定が違うと…勘違いだが…怒るファンが多いので)
それと上のブログ主さんが
とツイートされているのですが、どうして怖いかと言うと、実は大人向け映画だからなんですね。
ジョークも大人なりの「皮肉」で、裏には非常に鋭い棘がある。
当時どうしてヒットしたのか? うーん、当時の子供だった自分たちでも謎。ニヒルなジョークが理解できるほど高度な感性を持っていた、わけではないのだが。
ゴーストのキャラたちが気持ち悪くて可愛くて、子供心を刺激したのが第一。今のポケモン、ではなく妖怪ウォッチのほうかな。水木しげるの妖怪マンガに近い魅力もあるか。
私が最も好きだったのはマシュマロマン、あれに悪魔を乗り移らせるギャップ(つまりエクソシストをバカにした皮肉)が衝撃で、子供でもその皮肉に気付いて最高に笑えた。
それから、やはり何より、登場人物たちが人気になって盛り上がっていく感覚に血が沸いた記憶があります。つまり古典的なヒーロー物の路線を踏襲しているわけです。それなのにその人気者たちが「冴えない」見た目なところがまた、良かった。
ポイントは「冴えない非リア充たちの一発逆転の成り上がり物語」ですかね。
当時、時代全体がそういう作品を歓迎していた。『摩天楼はバラ色に』にも共通項があります。というわけでやはり『ゴーストバスターズ』みたいな映画が流行ったのは、「時代のせい」だったと言えるのかもしれません。
個人的にはこういうシンプルな成功物語を愉しむほうが人間として健全だし、流行る時代は良い時代だと思う。
(書いていて気付いたが、これは『三国志』=蜀にも通じる人類の黄金ストーリーなんですよ)
今作では、あえて大衆に騒がれる設定を避けていたのですが、それに気付いた私は少しゾッとして「時代だな」と思いました。
大衆に騒がれるシーンを描くと批判が来るから、避けなければならないとは。それだけ嫉妬深い捻くれたクレーマーが増えたということ。あまり健全な時代ではない。
まとめ。
全体に旧作への愛がちゃんとある、希少なリメイク作品だったと思います。
こういう映画を観てしまうと、つくづく最近のハリウッド映画は退屈になったのだなということが分かりますね。
子供向けなのに無理に小難しく作っているSFヒーロー映画はどうかと思う。中身が全く無い。
ゴースト物に限って言えば、アメリカ人は幽霊などよく分からないのに、背伸びをしてジャパニーズホラーに追いつこうとするのでハリウッド版『リング』などの駄作を量産。
しょせん、悪魔かゾンビしか知らないのでしょう。想像の限界が『エクソシスト』だから、幽霊も悪魔祓いしてしまう。
知らないなら知らないで、自分たちなりに楽しめるものを作ればいいのにね。
『ゴーストバスターズ2016』は、久々にアメリカの良さを思い出させてくれる作品でした。
そう、子供の頃のハリウッド映画はこうだった。だから好きだった。シンプルで良い。シンプルなほうが、かえって「中身のある」話になる。
しかし私も普段小難しいことを考えることが多い性格なので(笑)、たまにこういう純粋エンターテイメントを見たほうがいいなと思いました。
それにもう精神病のストーカーとか文章の一部しか理解できないバカなクレーマー、寂しくて相手をしてもらいたいだけの主婦とか、面倒な人たちのお世話をすることに疲れてしまいましたよ。
これからの人生、単純で楽しい作品にたくさん触れて楽しんでいこうと思います。
【補足】
今回、私は3Dで観ました。
3D映画は、人物や建物がペラペラの紙人形のように見えてしまってあまり好きではないのですが、『ゴーストバスターズ』は3Dに合っていましたね。
ビームが飛び出るところなど迫力満点で、アトラクションレベルに満足しました。
3D映画を観て楽しいと思ったのは初めて。もう一回観たいと思うくらい。(子供だ、笑)
ちなみに3Dだと日本語吹き替えになります。
日本語吹き替えではギャグのところ、無理に現代日本のギャグに差し替えるので寒さが引き立つ。
「獲ったどーー!」はさすがにやめてくれと思いました。
まあ、スピード感のある物語を展開するため、理解しやすい台詞に変えるのはやむを得ないのだろうが。あと子供に分かりやすくするためか。
でも子供だと、大人の事情が分からないのでかえって「え、なんで濱口の台詞を言うの? アメリカでも濱口は知られてるの?」などと疑問を持って引っ掛かるのではないかな。(私はそういう子供だったので)
吹き替え声優について。友近が吹き替えをしていたことを知らず、驚いた。違和感全くなし。
渡辺直美には途中で気付いたが。
あと余談、ニール・ケイシーという人はナポレオンみたいだなと感心しつつ眺めていました。
雰囲気といい顔のつくりといい。ナポレオンの映画が撮れそうです。
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楽しかったです。
アメリカでは酷評で、登場人物を女性に変えたことで「フェミナチ映画」と言われ叩かれていたようなので心配していたのだけど。
参考:
http://yuichikawa.hatenablog.com/entry/ghostbusters-reboot-revivew
保守派のコラムニスト、マイロ・ヤノポロスは、黒人キャストのレスリー・ジョーンズに対して、低レベルの悪口や、人種差別的な発言を煽ったことでツイッターを永久追放となったことも話題となりました。
これら、ゴーストバスターズを叩いていた人たちのなかには、はっきりと「フェミニズムのプロパガンダ映画だから嫌だ」と書いている人もいましたが、「女性キャストだから反発しているのではない。単に、ひどい映画だから」と主張している人もいました。
でも、彼らは、まだ映画自体が公開される前から、そんなことを言っていたわけです。予告編だけで映画の出来がわかるわけではないのにね。
何これ、本当に酷いな。
アメリカ人もヘイトで狂っておる。(あ、元々そういう国か)
私は現代のハリウッド映画のように真面目で退屈なストーリーに堕ちることだけを心配していたのですが、予想外に痛快でした。
がんばってギャグも入れていた。相変わらずアメリカ映画のギャグはいまいち笑いどころが分からないが(笑)、コミカルにしようという心意気が感じられ嬉しい。
それとやはり、曲が昔と同じなことが嬉しいですね。音楽を完全に変えてしまうリメイク作品が多いなか、昔の曲を(カバーらしいが)使ってくれたのは本当に嬉しかった。大音量であの曲が響いた時は、子供の頃の楽しさを思い出してゾクゾクしましたね。
旧作ファンとしても怒るところなく楽しめた良作でした。
いや、怒るどころか現代の映像技術を上手く使ってパワーアップさせてくれた。リメイクでパワーアップする映画などほとんど無いので、これは奇跡と言えます。
ストーリーは、旧作世界の未来で「子供の頃にゴーストバスターズファンだった女子たちが会社を復活させる」、という話を勝手に想像していたら違った。完全に一から始める話なんですね。
確かにこのほうがオリジナルを知らない人も楽しめるか。
しかしこういう無理をすると失敗する映画も多いのに、ここまで疾走感のある話に仕上げたのは見事と思います。
ただ苦笑したのはゴーストを閉じ篭めるのが一回きりだったということ。しかも死なないゴーストを百人斬りしている(笑)。幽霊は死なないからこそ閉じ篭めるしかないのだ(故に解放され逃げ出す危険と隣り合わせ)という基本ルールを無視なのはどうかと思いました。やはりアメリカ人はゴーストとモンスターやゾンビの区別がついていない。
まあ、細かいところは目をつぶり、笑って楽しみましたが。
昔の役者たちを登場させていることも旧ファンには嬉しい。我らがヒーロー、ビル・マーレイがゴースト批判論者として登場し、すぐに死んでしまうのは少し残念ではあるが。
主役たちが女性なのは、最近の世の中の傾向でしょうか。大統領も首相も知事も女性ばかり。
性差別と言えなくもないが、映画の場合は単に女性客を映画館に呼びたいだけなのだろうね。
『ゴーストバスターズ』はもともと男の子向けの映画。だから登場人物を女性にすることで女性客も呼ぼうという作戦か。『スターウォーズ』で成功したから。
私は『ゴーストバスターズ』が女性ではちょっと無理があるのでは、と思っていたのですが。見ているうちに違和感はなくなりました。
若く美しい女の子たちではない、というところが良かったかもしれない。旧作では「冴えない」研究者たちなので、コンセプトとしては一緒か。
ただ、メインの女性二人の友情は、やはり男の感覚だと思う。ストーリーも男向き。そのまま男に変換しても違和感ないストーリーなので、旧作ファンの自分も楽しめたのだろうと思います。
これが本当の女性による女性のための「フェミ映画」だと、女の人しか分からない謎めいた台詞が多過ぎて理解不能となる。
「これ、何がどう面白いの??」
「あの台詞ってどういう意味?」
とずっと女性に質問し続けて怒られてしまいますね。
ところで今作の登場人物設定について、ネットで
「全員博士で技術者だ! 昔は一人素人だった。昔と違うじゃん、許せん!」
という批判を見かけたことがあります。
え、いや、昔と同じく一人素人だけどな? 旧作と同じで黒人さんね。
皆さん、本当いい加減だな(笑)。いったい何を見ているのだろうか。
(黒人は相変わらずブルーカラー、差別は改善されていないの件について。確かにこれを人種差別と見ることも可能だが、旧ファンへのサービスの意味のほうが強いのでは。上の通り、キャラ設定が違うと…勘違いだが…怒るファンが多いので)
それと上のブログ主さんが
オリジナルを礼賛してるゴーストバスターズファンは結構いるけど、のっけから、ビルマーレイ演じるキャラが、科学者のくせに、試験を真面目にやろうともせずに被験者の女性を口説こうとしてるとか、シガニーウィーバーに対する接し方もなんかとにかく「怖い」。ジョークのつもりらしいけど笑えなかった
とツイートされているのですが、どうして怖いかと言うと、実は大人向け映画だからなんですね。
ジョークも大人なりの「皮肉」で、裏には非常に鋭い棘がある。
当時どうしてヒットしたのか? うーん、当時の子供だった自分たちでも謎。ニヒルなジョークが理解できるほど高度な感性を持っていた、わけではないのだが。
ゴーストのキャラたちが気持ち悪くて可愛くて、子供心を刺激したのが第一。今のポケモン、ではなく妖怪ウォッチのほうかな。水木しげるの妖怪マンガに近い魅力もあるか。
私が最も好きだったのはマシュマロマン、あれに悪魔を乗り移らせるギャップ(つまりエクソシストをバカにした皮肉)が衝撃で、子供でもその皮肉に気付いて最高に笑えた。
それから、やはり何より、登場人物たちが人気になって盛り上がっていく感覚に血が沸いた記憶があります。つまり古典的なヒーロー物の路線を踏襲しているわけです。それなのにその人気者たちが「冴えない」見た目なところがまた、良かった。
ポイントは「冴えない非リア充たちの一発逆転の成り上がり物語」ですかね。
当時、時代全体がそういう作品を歓迎していた。『摩天楼はバラ色に』にも共通項があります。というわけでやはり『ゴーストバスターズ』みたいな映画が流行ったのは、「時代のせい」だったと言えるのかもしれません。
個人的にはこういうシンプルな成功物語を愉しむほうが人間として健全だし、流行る時代は良い時代だと思う。
(書いていて気付いたが、これは『三国志』=蜀にも通じる人類の黄金ストーリーなんですよ)
今作では、あえて大衆に騒がれる設定を避けていたのですが、それに気付いた私は少しゾッとして「時代だな」と思いました。
大衆に騒がれるシーンを描くと批判が来るから、避けなければならないとは。それだけ嫉妬深い捻くれたクレーマーが増えたということ。あまり健全な時代ではない。
まとめ。
全体に旧作への愛がちゃんとある、希少なリメイク作品だったと思います。
こういう映画を観てしまうと、つくづく最近のハリウッド映画は退屈になったのだなということが分かりますね。
子供向けなのに無理に小難しく作っているSFヒーロー映画はどうかと思う。中身が全く無い。
ゴースト物に限って言えば、アメリカ人は幽霊などよく分からないのに、背伸びをしてジャパニーズホラーに追いつこうとするのでハリウッド版『リング』などの駄作を量産。
しょせん、悪魔かゾンビしか知らないのでしょう。想像の限界が『エクソシスト』だから、幽霊も悪魔祓いしてしまう。
知らないなら知らないで、自分たちなりに楽しめるものを作ればいいのにね。
『ゴーストバスターズ2016』は、久々にアメリカの良さを思い出させてくれる作品でした。
そう、子供の頃のハリウッド映画はこうだった。だから好きだった。シンプルで良い。シンプルなほうが、かえって「中身のある」話になる。
しかし私も普段小難しいことを考えることが多い性格なので(笑)、たまにこういう純粋エンターテイメントを見たほうがいいなと思いました。
それにもう精神病のストーカーとか文章の一部しか理解できないバカなクレーマー、寂しくて相手をしてもらいたいだけの主婦とか、面倒な人たちのお世話をすることに疲れてしまいましたよ。
これからの人生、単純で楽しい作品にたくさん触れて楽しんでいこうと思います。
【補足】
今回、私は3Dで観ました。
3D映画は、人物や建物がペラペラの紙人形のように見えてしまってあまり好きではないのですが、『ゴーストバスターズ』は3Dに合っていましたね。
ビームが飛び出るところなど迫力満点で、アトラクションレベルに満足しました。
3D映画を観て楽しいと思ったのは初めて。もう一回観たいと思うくらい。(子供だ、笑)
ちなみに3Dだと日本語吹き替えになります。
日本語吹き替えではギャグのところ、無理に現代日本のギャグに差し替えるので寒さが引き立つ。
「獲ったどーー!」はさすがにやめてくれと思いました。
まあ、スピード感のある物語を展開するため、理解しやすい台詞に変えるのはやむを得ないのだろうが。あと子供に分かりやすくするためか。
でも子供だと、大人の事情が分からないのでかえって「え、なんで濱口の台詞を言うの? アメリカでも濱口は知られてるの?」などと疑問を持って引っ掛かるのではないかな。(私はそういう子供だったので)
吹き替え声優について。友近が吹き替えをしていたことを知らず、驚いた。違和感全くなし。
渡辺直美には途中で気付いたが。
あと余談、ニール・ケイシーという人はナポレオンみたいだなと感心しつつ眺めていました。
雰囲気といい顔のつくりといい。ナポレオンの映画が撮れそうです。
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