我傍的、ここだけの話

吉野圭のプライベートブログです。小説裏話、前世+占星術
 メニュー・新着

-

「俯瞰」とは具体的に、どうするのか

サイトで「俯瞰思考」に少し触れていますが、具体的にどうすべきか分かりづらかったかもしれません。
メールでこのことについてお話をいただいて、ご本人に回答しましたが公開でもう少し詳しく書いてみます。

〔目次〕
シンプル VS 情報過多
俯瞰で見るとは何か
他ジャンルへの応用~「意識高い系」とは違うニュアンスで使うべし


シンプル VS 情報過多


私がサイトやブログで繰り返し、
「一つの項目だけで全てを判断しようとするな」
「俯瞰思考を持て(鳥瞰で見よ)」
などと偉そうなことを言っているので、シンプルな占いに慣れた方は混乱されているのではと思います。

シンプルな占いとは、代表的なのは四種に分ける血液型占い。(血液型占いが本当に「占い」なのかどうかの是非はともかく)
東洋系(?)では六星占術とか。
西洋系で言えば9分類の数秘術。
一般的な『星占い』も、太陽星座だけの12分類で全性格を読むのでこのシンプル系に入ります。
宿曜占星術はシンプル系の中で最も分類数が多いのですが、それでも27種に限定されます。

圧倒的に世間で流行しやすいのはこれらシンプル系の占いのほうです。
やはり情報が少なければ難しいことを考える必要がないから一般にも受け入れられやすいのだと思います。
それから少数グループの分類は
「〇〇座の人ってこうよね~」
「私、〇〇座だから◇◇座の人とは相性が悪い。◇◇座はこうだから嫌い」
といった話題で盛り上がりやすいから、ということもあります。
少数グループの分類はそのグループ同士で仲間意識が生まれやすく、敵対グループの悪口に熱中しやすい。
世の中のヘイトの流行を見れば分かるように、人間は少数のグループ分けで差別し合うことが大好きな生き物です。哀しいことですが、人間の「悪口を言いたい」「差別したい」という悪い欲望を満たすツールとして、少数グループ分けの占いは絶大な人気があるのだと思います。

逆に世間であまり流行しないのが、情報量の多い占いです。
典型的なのは西洋系の占星術。12星座×多数の惑星×アスペクト……で計算していくと、人類の長い歴史全体においても同じホロスコープを持つ人が出る確率は、文字通り天文学的に低い数値となります。
東洋系でも推命系はなかなかに複雑で、同じ命式を持つ人の割合は少数でしょう。

好ましいのは言うまでもなく、他の人と一致する確率が限りなくゼロに近い、情報量が多い占いのほうです。
情報量が多ければ多いほど正確さが増し、公平性も増します。
仮に
「あの星座の人ってこうよね~」
などという悪口を言いたい欲求にかられても、相手はほとんど全ての要素を持っており、自分も同じ要素を持っているので断定的な悪口が不可能となります。これによって差別は封じられます。
どうして情報量が多くなると公平性が増すのか、という謎はこの「差別封じ」の論理で理解できるのではないでしょうか。

ただし情報量の多い占いを扱うには「俯瞰で見ること」が不可欠です。
細部にこだわれば、結果はシンプル系の占いと同じ。
いかに情報が多くても細部にこだわる人は偏見で誤ります。


俯瞰で見るとは何か


とは言え、「俯瞰で見る」とは具体的にどうするのか分かりづらいと思います。

「俯瞰で見よ」と言われた時にたいていの人が陥りがちな罠は、全ての情報を同じ力加減で見ようとすることだと思います。
つまり、たくさんの情報を等しく見ようとする。骨格と枝葉の区別がつかないので必死で枝葉の情報を集めようとする。
これでは些末に囚われ、平面的な解釈となってしまい、永久に真相へ辿り着けません。
枝葉の話ばかり繰り返している人はこの罠に陥っていると言えます。
占星術でこの罠に陥ると、一生かかっても一人のホロスコープ分析すら終わらなくなるはずです。

俯瞰思考」とは、正しくは全体情報から重要ポイントを見抜いてピックアップすること、だと私は思います。

ポイントをピックアップするためにまず必要なのは、基本を抑えることです。
基本を知ることで骨格が見えてきます。
似たような砂粒に見えるたくさんの情報で、突出して重要な部分はどれなのかが分かる。
たとえば鳥瞰で眺めるだけでは全てが平面に見えますが、ここに等高線を加え、三次元の立体で見るような感じです。高い山をピックアップして眺めていくと本当の意味で全体が見えます。

※これは未来予測としての水瓶座解釈(全てがフラットになる)とは全く別次元の話なので混同しないでください。高さに喩えて混乱するなら、色の濃さなどと喩えても良いでしょう

占星術で言えば、やはり『12サイン(星座)』の特徴を覚えることが基本となるのではないかなと思います。
それも一つ一つのサインの意味を掘り下げたり、広げたりせず、まずステレオタイプな特徴を抑えること。
他の星座にはない、その星座だけの特徴を覚える。
解釈を広げるのではなく、削ぎ落していくイメージです。

一つの星座の解釈を延々と書き綴っているような本は、初心者向けテキストとしてあまり好ましくないと思います。そのような本は必ず拡大解釈を含みます(12分類の区別がうまくついていないので他サインの解釈も含んでしまっていることが多い)。少数分類だけで全てを読み取ろうとするから解釈が拡大していく、太陽オンリー主義の誤りです。

そのサインだけの特徴を覚えるためには、12サインを流れで考えるのが近道だと思います。
占星術とはシンボル学や哲学と同系列なものですから、ただテキストを鵜呑みにして信じるだけではダメで、理論的に考える必要があります。
「古代の人はどうしてこの位置のサインに、このような解釈を当てはめたのか? どうしてこの順番になるのか?」と推測しながら考えると身に付きやすいはずです。

12サインの特徴を覚えたなら、あとは楽勝です。
これに惑星やアスペクトなどを掛けていき、解釈を深めていけば良いだけです。
ASCや月、太陽など、重要ポイント「高い山」となる惑星がいくつかありますので、そのポイントだけ乗じる数を増やす。伝統的な特殊アスペクトには特に着目する。
(この、重要ポイントが流派によって違いますが)

何より大切なのは、些末な情報には囚われ過ぎないことです。
小惑星や新説ばかりにこだわり、足を取られないこと。
まずは大きな枠から読み取らなければ真の像は見えません。
細部が必要ないとは言いませんが、小惑星や新説は後から考えても構わないと思います。


他ジャンルへの応用


繰り返し書いておきますと、占星術的な俯瞰思考は他ジャンルでも応用が利くと考えられます。

たとえば法律ジャンル。
医療ジャンル。等々。
結論(法的判断や診断)のために大量の情報を瞬時に眺める必要があるジャンルでは、俯瞰思考は不可欠な技能です。
医者や法律家が、一つの些末なデータにこだわり囚われてしまえば、必ず誤った結論を出すことになるでしょう。だからこのようなジャンルでは「俯瞰思考を鍛えよ」、と口うるさく言われます。

思考の癖は訓練で身に付きます。
たとえ趣味でも、占星術でこの「俯瞰で見る」癖をつければ他ジャンルで必ず役立つとはこういう理由です。

ちなみに、昨今の意識高い系ビジネスマンが口にする
「俯瞰で見ろよ」
は私の考える俯瞰とは少々ニュアンスが違う気がします。
最近は精神論的な意味合いで「俯瞰思考」「大局的に観ろ」が使われることが多いようですが、私が言っているのは技能的な意味です。

この意識高い系の人々が使う、
 ・目的のために手段を選ばず
 ・全体のために個人を犠牲にする
 ・政治的判断で法律解釈を歪める
という意味で使われる「俯瞰」「大局」は単なる手抜きの思考法であり、真の意味での俯瞰ではないと思います。
このような意味で「俯瞰」という言葉を使わないでください。


関連記事
・削ぎ落とすことの具体的な手ほどき:枝葉に囚われるのは何故? 「削ぎ落とす」のが、俯瞰思考のコツ
・アスペクトや手法にこだわってはならないという話:細部に囚われず、複合・全体で見る

関連記事


My profile

Author : 吉野 圭

プロフィール・お奨め記事

note(占星術館×我ここ 抜粋)

小説へいただいたご感想

【お願い】
当ブログの記事を気に入っていただけたらシェアお願いします。要パスワード記事は引用しないでください(パスワードを貼るのも禁止です)

記事にして欲しいご質問あればこちらからどうぞ:★コンタクト

検索フォーム

Translate,翻譯

過去ログ v Co リバース

管理者 別サイト

現在位置

トップ > 神秘・占星術 > 「俯瞰」とは具体的に、どうするのか

このブログはPG12です。→保護者の方へ

メモ帳

【別窓で開く】