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千年に一度の、“雲間の光”

 遅ればせながら金環日食の話。スカイツリーの開業やら何やら様々なイベントが続いていますが、近年これほど心惹かれた出来事はありませんでした。
 
 自分の今生きている地で金環日食が見られるのは約千年ぶりということで、ぜひ見たいと思い出勤前に多少の時間を得ました。

 しかしあの朝、東京はあいにくの曇り。
 しかもちょうど金環となる時間帯に特に分厚い雲が太陽にかかり、これは駄目かな……と半ば諦めかけていました。
 それでも名残惜しくて黒い雲を凝視していたら、ほんの一瞬だけ雲が吹き払われ光が見えました。

 時間にして一秒か二秒。

 薄雲を通して見事な美しい光の輪が姿を現しました。

 一瞬の出来事だったので、日食グラスを目に当てるのが間に合わず肉眼で見てしまいました。
 本当はやったらいけないことなんだが、あれは不可抗力でしたね。
 しかしそのおかげで光の輪が綺麗に見えました。
 ちょうどダイヤモンド・リングとなった瞬間が見え、雲の隙間から迸る光のあまりの美しさに涙が出ました。

 ※ダイヤモンド・リング …月の谷間から太陽の光が漏れ出てダイヤモンドのように輝くこと。皆既日食で言うようだが金環でもそう見えたので言ってもいいかな?

kinkannisshoku.gif
――写真は撮れなかったのでACから。こんな感じ。(c)sakaeさん)

 いくつもの偶然が重なり得られた一瞬の奇跡だったと思います。
 五分間見られなかったことは惜しいと言う人もいるが、一瞬で充分過ぎました。

 雲っていたことは逆に幸運だったのかもしれない。

 フィルターの掛かったカメラで撮影された日食写真はたくさん見たが、実像は比べものにならないほど美しかったです。

 空気や音の変化も感じられる気がするのは不思議です。
 (宇宙から降る“無音”の音の変化が聴こえる、ように感じられる。私だけか)

 あの後に晴れて来たため自分でも日食グラスで太陽の欠けを観察したが、何か違う。
 日食グラスを通すと程度の低いCGみたいに見えます。実物としてそこに星が存在しているように感じられません。

 だからと言って晴れていると日食グラスを掛けなければ全く見えないし。
 (絶対に直接見ては駄目ですよ。だけど見ても見えないから無駄ですね)

 これでは古代の人たちは天文学者でもない限り金環日食などに気付かず過ごしていたに違いない。
 皆既日食で、暗くなればさすがに気付いたでしょうが。 
 東京地方の我々が見た時のように、適度な薄雲を通して見られるという偶然が起きて初めて確認出来たものと思います。

 多くの幸運を得て、千年に一度の奇跡に出会えたことを感謝します。
 これだけでも今この場に生まれて良かったと言えるでしょうか。
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