絵画的というだけでなく、空気感があるんですよね。その場にいるような臨場感。というより「空気感」の方がぴったりですかね。
臨場感というと高揚感も含まれているような感じがしてしまうのですが、永遠の雨の場合、お話ごとに違う空気感がある、違う個性があるのが面白い。
要するに、読者は作品ごとに「異なる空気」を感じることが出来る、という贅沢を楽しめる訳ですよ。
巫女さんのお話なら「淡い空色の下、冷やっとした透明な空気。その少し水滴を帯びたような冷んやりした空気の中にいるのは何故かとても気持ちがいいい。悲しいお話なのに、爽やかで心を鎮めてくれる静寂で透明な空気は、すうっと体内に入って来て自分の魂を清めるよう。」そんな感じでしょうか。
体内発火した少女の話は、色はもちろん赤ですが。それは怒りや悪への悲しさ、絶望を含んだ、深い赤。黒に近いのかな。彼女は巫女さんと対照的で、熱を持ち、外にも出すタイプだから、読者の身体も熱くなる。一緒に悪への憎悪を感じ、真っ赤に燃え尽きる映像を観る(あるいは感じる)思いがします。
少年のお話も火山で社会が壊れてゆく様が絵画的で映像的です。
最後の話は、もちろん、荒野の茶色、砂塵が目や鼻に入る空気感ですね。どこまでも続く荒々しい大地の様子が。うーん、映画とかにしたらダイナミックでいいだろうなあ。
(家族)に話したのですが、こんな映画、誰か作ってくれればいいのに、と思います。
過去生をどんどん過去に遡って描いていくのです。同じ人物の視点なのに、時や場所、性別や境遇が全然違うのでそのギャップへの対応を視聴者も迫られるというのは独自の視点ですよね。
そして最後は普通の人生ではなく、自分の罪のために死んでいくというストーリーもきちんとあるので納得です(ただの「お話」ではない、「魂の旅」とでも言おうか)。
生まれ変わりとか信じなくてもSFとして楽しめばいい訳で、面白いSFが世の中に本当にないので(特に映画はダメ)、そんなことを考えてしまいました。
ありがとうございます。恐縮です。
私自身、「空気感」の感じられる小説が好きなので空気を表現するよう意識しています。
ただ未熟なせいか、
「細かい描写がウザい」
「景色の描写なんか、いらん」
と批判を受けることのほうが多いです。
未熟な私の文で空気感が伝わっているとは嬉しいし、驚きです。まるで超能力者みたいだと思いました。
あなたの感想もそうですが、読者様の感想文のほうが遥かに名文だと思うことが多々あります。
作者の未熟さも影響しない超越した感性で、ダイレクトに心を読んでいただいているかのよう。
それにしても、描写自体が現代小説では嫌悪される傾向があり、いかがなものかとは思っています。
現代の小説で「空気感」を描こうとする小説は嫌われ、叩かれるのが現実です。
描写など邪魔だからカットしなければならない、という不文律のルールもある。そのルールからはずれた小説が現代で浮かばれることはありません。
ネットだからこそ可能だった表現ではあります。
人気は得られないですけどね。
以前も旧『little life』(あの頃、君は僕の隣にいた)へ、
「描写が好きだ」
というご感想をくださった方がいました。
(ご感想リストhttp://rainydays2.web.fc2.com/kansou.html 2011/1/9 非公開ご希望の方)
この現代で描写自体を愉しむ、いわば本当の「小説読み」がまだ存在していることを嬉しく思ったものです。
これからも、数少ない「小説読み」のために独自の表現を続けたいと思います。
報われることがないのは、分かっていますが。
>こんな映画、誰か作ってくれればいいのに
ありがとうございます。
新海誠みたいなアニメーターが美しいアニメ映画にしてくれないかな、と夢想することはあります(笑)。
が、あくまでも夢想です。