集団から求められる生き方(アンチバーテクス)と、それに対する自己の反応(バーテクス)

 


 西洋占星術であまり取り上げられない感受点、「バーテクス」「アンチバーテクス」について筆者ネイタルを例に解説です。

2021/4/10文章推敲

〔目次〕
「バーテクス」「アンチバーテクス」とは何か
両バーテクスで、他者から押し付けられる宿命を読む
事例(筆者)


「バーテクス」「アンチバーテクス」とは何か


当サイトの鑑定では料金の都合もあり、ホロスコープの流れ・全体の方向性を見ることを重視しています。
このため、ASC・月・太陽・MCのシンボルに絞って解読することとしています。

※現在、鑑定は行っておりません

今後もしこれに足すとしたら、晩年を表す土星が最重要になると思います。

土星についてはまた後で書くとして。
もう一点、「自分の人生の使命を知りたい」と思っている方が解読すると面白いだろうと思われるのが、バーテクス・アンチバーテクスという惑星です。

「バーテクス」および「アンチバーテクス」とは、正確には星ではなくてASCやMC等と同じように計算上のポイントです。

天球の南北を通る子午線と、直角に交わる東西の線を卯酉線(ぼうゆうせん)と呼びます。
※卯酉線は、占星術テキストでは「PrimeVertical」、略してPVと書かれていることが多い

この卯酉線と、太陽が通過する軌道である黄道が交わるポイントが、「バーテクス(西側)」・「アンチバーテクス(東側)」です。

計算はコンピュータで出してください。
Vtと表示されるのがバーテクスです。
バーテクス一点のみ出すソフトが多いのですが、当然ながらアンチは正対象の東側ですので、180度のポイントがアンチバーテクスになります。


両バーテクスで、他者から押し付けられる宿命を読む


さてこのバーテクスとアンチバーテクス、何が面白いのかと言いますといわゆる
「宿命」
を表すらしいからです。

(これは宿曜占星術とは関係ない、一般的な日本語としての「宿命」です。逃れられない運命という意味)

“宿命”と言いますが、私が思うにホロスコープに表れる象意はそのどれもが本人には宿命と感じられるはずです。
どうしてか。
それはホロスコープが出生前に自分自身で立てた計画書で、地上で生きている間はその計画を忘れているからです。

つまり「宿命」と言うよりも、どちらかと言うと自分自身が「動かしたくない」「動かすべきではない」と無意識に思っているので実現しやすいというわけです。

たとえば私は鑑定でMCを「社会的役割」としてご説明していますが、MCとは「自分が成長した暁にはこのようなお役目を果たそう」と決めた最高度の目標になります。
MCを実現させて生きている方が多いのは、本人が立てた目標計画に沿ってそのように動いて、「自分はこれが出来ます」とアピールしていくため理屈として自然に実現しやすいからです。

占星術家の松村潔は、これを「名刺として出せる生き方」と表現しています。
なるほど自分で名刺に○○屋と書くのですから、当然ながらその仕事が舞い込みますよね。

本人は自分で立てた計画を忘れているので、MCもまるで社会から押し付けられた役割のように感じがちですが、実は自分発信だったということになります。

いっぽうこれと対極にあるのが、バーテクス・アンチバーテクスです。

東側のアンチバーテクスは、集団からの要求として文字通り「押し付けられる」生き方を表しています。
西側のバーテクスは、集団からの要求を受けた時の個人の反応です。

つまり、自分発信ではなく他者を主体として動く運命です。

松村氏は、
「その人が好むと好まざるとにかかわらず、避けられない形で出てくる人生の課題がAVとV」
と言っています。
また彼はきっぱり、「宿命」という表現も使っています。
自分ではなく他人から押し付けられる人生という意味で、「宿命」と呼んだのでしょうか。


事例(筆者)


どういう理屈でVtとAVtの解釈が、こうなるのか。
詳しい話はまた後述するとして、実際のデータに照らし合わせると、このポイントが意味するものが分かってくると思います。

また他人のホロスコープを公開するわけにいきませんので、筆者のものを例として使ってみます。

 ・バーテクス: 乙女座 数え10度
 ・アンチバーテクス: 魚座 数え10度

先に、「集団から求められる生き方」を表すアンチバーテクスから解読していきます。

魚座10度、サビアンシンボルでは
『雲の上の飛行家』。(訳文著作権者:松村潔)

松村版では、
「神秘のベールで自分を隠す。謎の多い人物。エリート的な振る舞いをするが、それは防衛本能から(要約)」
等となり、やや自分主体の解釈であるためアンチバーテクスを読む目的では少々分かりづらいです。

そこで直居版を見てみますと、
…大変能力的に恵まれた人で、…特に優れているのは思考力でいわゆる頭の良い人であろう。
…ただこの人にはひとつだけ致命的な欠点があり、気を付けないとそれによって立場が保てなくなることがある。その欠点とはすべてを鋭利な思考で片付けようとする余り、割り切って悪に走ったり、逆に裏切られたりすることである。…
<現実の傾向>優れた思考能力を生かすことによる活躍。…

(『定本サビアン占星学』魔女の家BOOKS P270-P271より引用。太字は筆者による。…も筆者による略記箇所)

となります。

私はこれを読んだ時、衝撃を抑えられなかったものです。
これはあくまでも集団から押し付けられる役割を意味しているので、事実として本人にこのような能力や役割があり、事実このような性格であるという話ではありません。
しかし、筆者について色々と情報を漁っている方はお気付きではないでしょうか。
このシンボルはまさに私の前世~今世に社会・周囲から押し付けられたイメージを表しているものであると。
特に
「思考で割り切って、どんな悪行でも成してしまえる」
というステレオタイプな知的犯罪者のイメージは、今も避けがたく自分に付きまとっている気がします。(今世、私の過去を知らない人たちからもそのようなイメージで非難されることがあります)

※追記 念のため書いておきますと、現実の私は「思考で割り切って悪行を成せる」人間ではありません。むしろ逆。
裏付け…になるかどうか分かりませんが、よく言われる「サイコパスでは?」との疑いへのお答えはこちら。
 →性格なサイコパス診断
悪に走りやすいと誤解される要因としては →スキゾイド傾向 のせいもあるかもしれないと分析しています。


この集団から押し付けられた役割、と言うよりも悪評的な「イメージ」を受けての私自身の反応は、バーテクスによく表されています。

乙女座10度、サビアンシンボルは
『影の向こうを覗く二つの頭』。(訳文著作権者:同上)

松村版も直居版も、似たように「恐怖」と書いています。
実力を越えて無理をした結果、自己が分裂したかのような恐怖を覚える、と。
松村版に至っては、「自身の存在が消去される根底的な畏れ」と強い言葉で書いています。

まさに私はアンチバーテクスに描かれた役割を社会から押し付けられた結果、バーテクスの通りの恐怖を味わったものです。
(嫌なのはこれが前世のホロスコープではなく、現世のホロスコープであるということですが)



いかがでしたでしょうか。

私の場合は前世の影響が強いために、やや前世寄りの解釈となっていますが、やはり皆様にとってもこのポイントは現実の評価として重要になるようです。

「自分の社会からの評価を予測したい」と考えている方には、バーテクス・アンチバーテクスを調べる意義は深いものと思われます。

よろしければ、ご自分のバーテクス・アンチバーテクスを調べてみてください。

 

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